逸ノ城関、遠藤関の活躍・話題もあり、注目度も上がっております。
そして白鵬関の‥‥
大鵬さんに並ぶ“32回の優勝はあるのか!
も注目されています。
注目されている、九州場所。
ありがたいことに、私も多くの方から取材を頂いております。
その中で、必ず受けるご質問が‥‥
「最近、白鵬関の稽古量が減っていると言われますが、どのように思われますか?」
というご質問です。
私の回答はこうです。
労働科学者の端くれとして、大きく分けて2つお答えしています。
1つ目は‥‥、
稽古は今以上するなと言っております。
今の状況で勝てるのならばこれ以上稽古をする必要はありません。
なぜならば、力士は労働者です。必要以上に心身を消耗して職業期間を短くする必要は無いと思います。引退という無職になると家族が路頭に迷います。
もし、今の稽古量で勝てなくなったら、稽古量を増やすことを勧めます。
2つ目は‥‥、
皆さんが言っているのは「稽古の量」であって、「稽古の質」は昔よりははるかに高いです。
稽古量が減っても、稽古の質は上がっています。量・質は違うものなので本来は一緒にすることはできませんが、一緒に考え稽古とするならば、今の方がはるかに高い稽古をしています。
とお答えして次の図をお見せしています。

そして‥‥
いま、白鵬関は量ではなく質の稽古が中心です。本場所を想定して稽古をしています。
つまり、本場所の気持ち、緊張感、集中、動き(型の確認)、対戦相手の想定をしながら稽古をしています。
具体的に言うと、昔の武士・サムライ。
木刀や竹刀で相手と番百回も稽古をすることは必要です。でも真剣を持ったときにそれと同じ動きができるのか、疑問が残ります。そこで真剣を使った稽古が必要となります。しかし、真剣を使った稽古、これはとても効果的ですが、何十回も出来ないと思います。それと同じ考えです。
むかし、王貞治さんが真剣をつかってバッティングの練習をしましたが、素振りのように何百回もしませんよね。危ないですし、でもその時の精神状態はもの凄く高いと思います。
おそらく量が必要と感じれば、自ら量を増やすと思います。
とお答えしています。
白鵬関も量をこなす時代があり、今の稽古にたどり着きました。
これは大関時代、龍皇関との稽古場面です。


この時は、50番、60番は当たり前の時でした。しかも、楽しみながらしていた、記憶があります。
だから、稽古の時間も長くなり‥‥
部屋の若い力士が師匠の問に対して「まだ稽古しています」などの声も聞かれました。
白鵬関は、稽古量は少なくなっても、稽古の質はとても高いです。
本人も自覚しています。質の高さを追求しています。
なぜならば、それが「後の先」に繋がるからです。
後の先は質の稽古をしないと習得できない究極のわざです。
明日は、また「後の先」シリーズにもどります。
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