白鵬関が追求している後の先 その3 「双葉山さんの“こころ”」 | 内藤堅志オフィシャルブログ「労働科学研究者 内藤けんしの"ちょっといい話かも!"」Powered by Ameba

内藤堅志オフィシャルブログ「労働科学研究者 内藤けんしの"ちょっといい話かも!"」Powered by Ameba

労働科学研究所 協力研究員。
第1種衛生管理者。
労働衛生・安全、技能伝承、ストレスを研究しています。成功、活躍した人を分析して「運」も研究しています!

私は、白鵬関が横綱になってからずっと後の先とは何かを考えてきました。

そして「後の先に必要な要素は何か?」ということが徐々にわかってきました。

身体能力、メンタルの強さ(今的な意味)でしょうか?。
それらも当然必要ですが、最も大切なのは“こころ”です。


それでは、どのような“こころ”か。

いろいろな要素はありますが‥‥

もっとも、重要な要素は「死を覚悟した”こころ”」です。横綱の立場なら、負けを覚悟した相撲となります。(この部分が現代流のメンタルと異なる部分です)


横綱にとって負けは“引退勧告”すなわち、死を意味します。


「この写真を見て下さい。どう思いますか?」
白鵬関が双葉山さんの取り組み前の写真を私に見せて質問しました。
(2010年10月12日稽古後の事)

双葉山さん
(昭和17年:1942年夏場所千秋楽対安藝ノ海の写真です。後の先で勝っています)

横綱は‥‥
「普通の顔していますよね、これから勝負する人の顔には見えませんよね。勝とうとすると表情が固くなるけれども、固くないね」と言いました。

この写真の双葉山さんの境地が木鶏だと思います。


おそらく、横綱が度々言う「勝たない相撲」を繰り返すことで、この境地に達することが出来るのだ
と思います。


その次に、「相手を受け入れる”こころ”」です。
つまり、自分より先に相手が動く、それが後の先の必要条件となります。したがって、相手の気持ちを受け入れないと、相手が立った瞬間がわかりません。

勝ちを意識して、勝つことのみに執着していたらおそらく後の先はできないと思います。


後の先、それを行う為には、「不動のこころ」が必要となります。
双葉山さんの「木鶏」境地、あるいは「不生不滅」のこころとでも言いましょうか‥‥。
(私にはわかり得ない水準です)


ですから、こころが成長していないと完成しないとできない”わざ”、それが後の先です。


この後の先を極めた、双葉山さん。とても凄い人です。

次の表をご覧下さい。

双葉山さん昭和15年春


これは、双葉山さんが昭和15年(1940年)の春場所で行った「後の先」の状況です。
15日間で10日間の後の先をしています。



この1年後に太平洋戦争が始まります。

もしかしたら、横綱として負けは許されない時代であったかもしれません。

その中で、後の先で勝ち続ける、それはとても凄いことだと思います。


つづく‥‥。




白鵬のメンタル 人生が10倍大きくなる「流れ」の構造 (講談社+α新書)/講談社

¥950
Amazon.co.jp