アポトーシスと酸性プール -10ページ目

妄言、鱗粉に還る。


無くなりたい、と真剣に想った。4階のベランダから飛び降りたらこの身体の奥で疼く浮腫の不快感から逃れられるかな、って。正直逃避に値する行為を責める人は多数居るだろうけれども耐えられなかった。それ程に疼くんだ、ずきずき、奥が。身体の真ん中と同様に下腹部は鈍く痛んでいた。

誰かは知っていて自分は知らない盲点を知らされて、自分を正そうと努力するのは良い事だと想われる。けれども、自分の見えなかった部分を知らされると酷く、苦しいんだ。

『こんな自分が生きてて御免なさい』
『こんな自分が居るからこそ微量でも、多量でも不快感を与えて御免なさい』
『何も出来なくて御免なさい』

謝罪の言葉を想い浮かべれば想い浮かべる程、罪悪感ばかりが蓄積されていく。僕の中に冷たくて濁った水たまりを作って行く。
結局は、気に入られたいって、人から微量でも悪く想われたくないって必死に足掻く僕が墜ちたそこの無い水たまりの深みに嵌った儘。足下から沈んで逝く自分に既に希望なんて亡くして仕舞ったが為に水たまりから這い出ようとするのを諦めている。
嫌われたくない、不必要な個体にされたくない、そんな僕の大きな大きな欲求が小さな僕を飲み込んでいる。

消えたい。
そう想って自発的な行動を放棄していたら、聞き慣れたZippoの音がした。病んでいた刹那、空気を呼んだみたいに彼からメールが来た。
充電中だった携帯を握り締めて思わず裸足で出た(冷たい、否、それどころでは無かったんだ)。
期待は裏切り足早に去ってしまったけれども、突発的に彼の声が聞きたかったから電話をしてみた。どうやら期待通りに彼が僕の部屋の前に居たわけでは無かったけれど。
救われた、気がしたんだ。




一応、
まだ息をしている。

飛べない鳥は云う、退化した羽を広げて。


飛ぶのにはもう飽き飽きだったよ。
そんな愚かな科白でさえも、今の僕には聞き流すことは困難だ。


運命の人、と
綴られた科白が初めて過ぎて。
僕は大した科白も何も与えていないのに、縋られて伸ばされた手を優しく払い退けてみたんだ。

兎も角、縋られた時分その手を完全に離す事なんて出来ない。たかがメールだけの相手(しかも2人の間に空想世界を作り上げた。)だけれども、まだ、離せないんだ。幾らメールだけの付き合いと云えども僕達は僕達だけの世界を作り上げて楽しんでいただけなんだ。
何時からだったっけ?メールの空想世界に飽きてしまったのは。あんなに依存して居た筈なのに。

彼と居る時間が増えて、密を増したからには違いない。昨晩突発的にmixyに書いた日記の所為で彼の機嫌はすこぶる宜しくなかった。


友人で、同性とお付き合いをしている子が居ます。僕もお付き合いをしている相手とも実際逢って遊んだ事が有るしとてもいい子だったから好き。
しかし僕の友人は、現在とても仲の良い男性が居ます。その男性は、僕の友人の事を好きになっています。友人は、恋人と男性の間で感情をゆらゆらと揺らめかせて居ます。

確かに、彼女とその恋人は遠距離恋愛をしている。男性と彼女は近い存在。彼女は彼女の母親に同性の恋人が居る事を告げると、

「何時かはお互いが悲しむ結果になる。」

と云われました。当時、彼女は恋人と蜜月を過ごしていた為にとてもショックを受けていた。僕はそんな事無いよ、と慰めた(所詮現状が楽しければそれで良い、の人間ですから。その考えもあったし、彼女の母親は自分の娘が同性と交際している=異常と考えたのではないかと想ったから)けれども。

彼女は男性にも同じ事を云われていた。男性は、彼女より年上で。


やっぱり、女の子は男の人に最終的には惹かれて仕舞うものなのかな。
彼女は、今宵遠くから来鹿する恋人と日曜まで過ごす。男性とはキスや一緒に眠る(性行為ではない)関係まで発展している。

彼女の変化に、恋人は気付くのだろうか。出来る事なら、両の目に目隠しをされた儘気付かずに帰る事が許されればいいのに。

どうか、


僕は純粋に肯定を求めただけなんだ。


君が、
その首を縦に振ってくれたならば
僕は恍惚の一部となれたのに。





絶賛洗濯物祭開催中。
こんなに綺麗な空なんだから、噎せ返る程の洗剤の香りを纏う洗濯物を広げなきゃ勿体無いよね。湿り気を帯びた綿、ポリエステル、ナイロン、様々な布達が風と日光によって水分を奪われていく様、好き。

昼間の僅かな睡眠の所為か、昨夜から眠れなくて起き続けていて。気紛れで生まれて初めて玉ねぎスープ(オニオンスープと表記しようと想ったのだけれども。やはり此方の表記の方が相応しいと想われた)を作ってみたり、一度眠ろうと想ってベッドに潜り込んだものの再び起きて玉ねぎスープには手を着けず、ラスクを作ってみたり。

全く、僕の脳が神経を通じてこの身体支配しているものの未だに掴めない。未だに理解できない。この気紛れと思い付きには困ったものだと想って仕方がない。


理解し難い硝子の壁が、僕の思考と身体の間に存在すると想う。
何かの本で読んだ事が有ったのだけれど「煙草を求めているのは身体。脳はそんな身体の欲求を満たしてあげる為に身体に煙草を吸えと命令を下している」っていう意見に賛成。


取り敢えず、掃除と洗濯は終わったから後は片付けて彼を待つのみ。