函館の元町八幡坂沿いにある珈琲専門店が、わたしが一番愛する店だと思う。
隠れ家といいたくなるほどに。
2013年の春だろうか。
わたしは生まれも育ちも元町八幡坂なので、通りがかりに新しい住宅を見つけた。
よく見ると地味な看板があり、「箱館元町珈琲店」とある。
最近の記事の「虹の彼方に」で紹介した函館で一番美しい坂だ。
中に入ってみると、結構広い。
木の香りにうっとりする。
カウンターに座って、オーナーにどうしてここに珈琲専門店を作ったのですかと聞くと、
この坂の美しさに魅せられていたこと。
ここで珈琲の店を開いてみたかったという。
市内の珈琲専門店でコーヒーの作り方を修行したという。
大変な決断と八幡坂への愛情に共感を覚えたのが始まりかな。
それからたまに通うようになった。
流れるのは、スタンダードなジャズ。
前回来たときはムーンリバーが流れていた。
選曲のセンスが普通ではない。難しい曲は流さない。
客層によってボリュームやアルバムを変えているのはさすが。
コーヒーカップは色んな種類があり、オーナーがお客様の表情を見て
その人に合うカップをチョイスしてくれる。
出されるたびに、どうしてわかるのと聞いてしまう。
私は、コーヒーはいつもビター<深煎り>を飲む。
最初に決めたので、それ以降店に来ても私はオーダーしない。
「いつもの」とも言わない。
オーナーが黙って作ってくれるのが気持ちがいい。
コーヒーは自家焙煎なので、深いコクと香りは眩暈がするほど美味しい。
こんな美味しいコーヒーはここにしかないだろうと思うほどだ。
今回は、12月なのでテーブルにはクリスタルキャンドルが美しい。
客が来るとコーヒーを飲むときに蝋燭に火をつけてくれる。
このセンスたまらない。
わたしはこのお店が大のお気に入りなのは、コーヒー、コーヒーカップ、
音楽、椅子の安定感、緑の木。 (お店は半分しか写していません)
アンティークなオブジェたちが、目立たないようで、それでいてとても美しい。
後ろには、薪ストーブが、特別な温かさで、わたしのこころと身体を温めてくれる。
普通のストーブとは温かさが違う。柔らかく温かいという感じか。
前回の大三坂ビルのゲストハウスも薪ストーブですよ。
この考え抜かれているトータルな空間が好きでたまらない。
センスはSNSでは宣伝しない頑固さや、
食べ物はないけれど絶品のサンドイッチやチーズケーキで十分満足させてくれる。
これらのお皿も選び抜かれている。
ほとんどの人は知らない裏メニューのコーヒーフロートが大好物だ。
ニュージーランドの大盛りのアイスは忘れることはできない。
(たまにスーツ姿で食べているのはわたしです。
ある時、たまたま隣に座った女性客がわたしのオーダーを聞いて、
コーヒーフロートを頼んだのはなぜでしょう。
知れ渡ってしまったのか。インスタの写真でしょうか)
不思議なのは、カウンターの横に座っている女性のお客さまと気がついたら、
会話が成立していることがあるのはなぜなのだろう。
このリラックスできる空間がそれを作り出してくれるのだと思う。
そんな素晴らしい空間でオーナーと、とりとめのない会話をすることが
わたしの癒しかもしれない。
最近では、口コミが広がりすぎて、比較的大きな店だけど、
男性・女性どちらにも好かれているようだ。
外国人観光客もよく来られるので、やっぱりいい店はメジャーになるものだと感心したり、
それでもここにくるまで大変な努力をしてきたのだと思うと、ほんとうにうれしくもある。
もし函館に来られることがあったら、坂の途中にあるので、寄ってみてください。
10分もここにいると、スーッと肩の力が抜けて、うれしい気持ちが広がってくるから。
ほんとうにリラックスして満足できる空間を知っていることは、とても幸せなことだと思う。



