田中さんは、TBSのサンデーモーニングでコメンティターをされているのでご存知の方も多いだろう。

 

いま日本で、凛として輝いている女性のひとりだと思う。


江戸時代の文化を研究。法政大学教授を経て、2014年に法政大学の総長へ就任。

 

次々と改革を行い、昨年の大学入試では、首都圏の大学で早稲田大学を超え、志願者数トップになった。

 

最近、法政大学の人気を上昇させている理由は彼女にあるといわれている。

 

 

写真はお借りしました。

 


この対談を読むとまさにその通りといいたくなる。

 

松岡正剛さんは、日本を最も深く知るひと。知の巨人だ。

わたしは松岡さんから一番日本を教えていただいたと思っている。


ふたりは30年の付き合いがある盟友。

田中さんは、以前松岡さんの編集工学研究所の名刺を持っていて食客扱いだったという。

20代には髪を真っ赤に染めていたという伝説もある。

艶っぽさとキレのあるコメントには、いつも舌を蒔く。

 

あの美しい着物姿は祖母が横浜でお茶屋の女将をしていて、その直伝というから

見事としかいいようがない素晴らしい着こなしだ。

 

(松岡さんは京都の呉服屋の息子だった。最も和服の似合う男性だと思う。 わたしの母方の祖母は呉服屋だったらしい。)

 

この本は、江戸時代だけではなく、日本史全体まで徹底的に掘り下げてくるので縦横無尽の展開についていくのは、中々大変だ。

しかしそのスピードのある展開も凄まじく面白い。


新書で、なんと350ページのロングラン対談。聞いたことがない。

途中、松岡さんは肺がんの手術をしたり、田中さんは総長になったが、ふたりでやり遂げた対談だ。

 

これは貴重な本。

この本に出てくる本は百冊以上、人間は数百人だろう。

多くの目が鱗が落ちるようなことを教えてくれる。


内容・密度が濃く深いために、何度も立ち止まって考え整理しながら読んだ。

わたしも多少は日本史や文化を勉強してきたつもりだが、じぶんの勉強不足に愕然とした。

途轍もない研究の成果がふたりの言葉には迸っている。

 

 

 

読み終えるまで2週間かかったが、あらためて江戸の文化の魅力に気がついたといっていい。

いかに江戸時代について知らなかったかも含めて。


そして人間には、<知的好奇心と想像力>が大切だということ。

 

 

以下は、田中さんの鋭い発言だけチョイスしてみよう。


・軍事に頼れば強くなるといったことは幻想で、結局何も強くしないことは、歴史が証明していますよね。

 

・日本の歴史の謎は公家集団が握っていたんじゃないか。

 

・江戸時代の教育というのは、人間関係を成立させるための礼儀を身につけさせることだった。

 

・信頼こそ富への道なんですね。

 

・ひとりの人間のなかにいくつもの自己があり、感情があり、論理があって、それがつねに葛藤している。それが近世日本が発見したことだった。とくに江戸の庶民は、正義や聖人などより、お互いをどう思うかということがよほど大切だった。

 

・悪とは、過剰なエネルギーの噴出のことであって、善とはその制御のことである。

 

・どのような方法であっても、新たな弾力的な知性は必須だ。


・私はそれこそ「おもかげ」と「うつろい」の方法ではないかと思う。さまざまな形に投影され無限に代理されていくけれど、無常を成り立たせている生と死、衰微と隆盛、夢と現(うつつ)

の循環は、宇宙と自然に埋め込まれている確固たる事実で、そこにそれ以上、普遍かつ不変なものを求める必要はないと日本人が観念してきたような気がしてならないのです。信仰を超えた境地をもっていると考えています。

 

 

松岡正剛さんは昨年、近畿大学に新しい図書館「アカデミックシアター」を監修して作った。

どうりで、大学の人気が急上昇しているわけだ。

編集工学研究所には、6万冊の人類が作り上げた本の傑作が並んでいる。

 


新たな未来を切り開くために奮闘しているひとたちがいる。

 

これからも<学び、挑戦し、実践する>ことを継続していこう。


そのためにも是非お勧めしたい一冊だ。


「ひとりの言葉が他者の言葉を生み、他者からの触手が自らに触れて思わぬ深みから未知の感覚が湧き上がることが、対談や座談なのである。おざなりの関わりでそれはおこらない。

稀有な時間であった。このまれな輝きを放つ場を、私たちは命尽きるまで、あとどれだけ

もてるのだろうか。」田中優子

 

<知の深み>は<英知>に繋がり、わたしたちが作った壁を壊し、

 

<新たな精神の進化>を生むことができると信じたい。