映画「ブルックリン最終出口」ジェニファー・ジェイソン・リー祭り | TO NI LAND 

 

 

 

映画「ブルックリン最終出口」

を観た。

 

 

 

 

 

 

作家ヒューバート・セルビー・

ジュニアの、

 

 

過激な性描写や暴力描写が

話題を呼んだとされる、

 

同名小説を映画化した

陰鬱な作品で、

 

 

不安を煽る

このような不快感を、

 

 

以前にも経験したことが

あったはずと、

 

記憶をたどってみると、

 

 

それが、

 

映画「レクイエム・フォー・

ドリーム」

 

を見たときのことであり、

 

 

「レクイエム・フォー・

ドリーム」も、

 

 

ヒューバート・セルビー・

ジュニアの同名小説が、

 

映画化されていたこと

を知って驚き、

 

合点がいったが、

 

 

 

「レクイエム・フォー・

ドリーム」が、

 

魂を破壊されそうな

ラスト30分によって、

 

 

私の“封印映画リスト”

に加わってしまった、

 

救いようのなさなのに対して、

 

 

 

「ブルックリン最終出口」は、

 

 

勇敢で働き者の少年を育む、

 

家族愛にあふれた

イタリア人一家や、

 

 

働けることに喜びを感じる、

 

真っ当な労働者たちも

登場したりするので、

 

 

心の避難場所は

用意されていて、

 

 

 

娘の結婚を祝う

イタリア人一族の宴と、

 

時を同じくして、

 

 

一人の娼婦が、

 

大勢の男たちに

輪姦されているのを、

 

 

対比するように映し出す、

 

 

まるで、

 

映画「ゴッドファーザー」の

粛清シーンのような描写は、

 

 

ブルックリンの闇の部分

が強調されていて、

 

衝撃的だったうえに、

 

 

 

ストや輪姦騒ぎなど

なかったかのように、

 

労働者たちの出勤風景が

延々と続くラストは、

 

 

まるで「ミスト」オチのようで、

 

 

 

立派すぎて、

 

脱ぐまではCGかと思った

トララの乳房を、

 

 

スティーヴ少尉が、

 

“西欧世界で最高の乳房”

などと称賛しなければ、

 

 

 

あるいは、

 

 

チンピラ集団が、

 

いつも通り酒場に

入り浸っているか、

 

 

 

書記長からの

スト解除の告知が、

 

もう少し早ければ

などと考えると、

 

 

なおさら

やりきれなくなって、

 

 

 

街のいたるところで

出没しては、

 

不穏な空気を漂わせる

チンピラ集団なども、

 

胸糞悪い存在だったが、

 

 

 

やはり、

 

 

「レクイエム・フォー・

ドリーム」ほどの、

 

絶望感や嫌悪感はなく、

 

 

どの登場人物にも、

 

まだ救われる余地が

あるように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

チンピラ集団の、

 

いかついリーダー格を

演じている俳優が、

 

 

映画「フォレスト・ガンプ/

一期一会」で、

 

 

オースティン・バトラー

に先駆けて、

 

エルビスを演じていた

俳優だったのに失笑し、

 

 

 

 

チンピラ集団でもっとも

鼻持ちならない男を、

 


映画「ユージュアル・サスペクツ」

では、

 

5人のうちの一人を演じ、

 

 

先頃、話題になっていた

アレック・ボールドウィンの弟で、

 

 

ジャスティン・ビーバーの

愛妻ヘイリーの父親である、

 

 

スティーヴン・ボールドウィン

が演じていて、

 

 

 

 

今ではオスカー俳優だが、

 

映画デビューしたばかりの

サム・ロックウェルが、

 


二人と同じく、

 

チンピラ集団の一人を

地味に演じており、

 

 

 

 

チンピラ集団に

ひどい目に合わされながらも、

 

 

リーダー格の男に

惹かれている、

 

ゲイの青年役を、

 

 

ロザンナ・アークエットと、

 

パトリシア・アークエットを

姉に持ち、

 

 

ロザンナもピアス女として

出演していた、

 

映画「パルプ・フィクション」では、

 

 

サミュエル・L・ジャクソンと、

 

ジョン・トラボルタの、

 

両方から

銃弾を浴びせられるという、

 

“4番目の男”役だった、

 

 

トランスジェンダーの

アレクシス・アークエットが演じ、

 

 

 

 

イタリア人一家の主を、

 

 

映画「ロッキー」での、

 

エイドリアンの

兄役で有名な、

 

バート・ヤングが演じていて、

 

 

 

イタリア人一族の

結婚パーティーで、

 

ゴッドファーザーなみに

娘とダンスなどしていると、

 

 

エイドリアンの

兄役だったのか、

 

コニー・コルレオーネの

兄役だったのかと、

 

紛らわしく、

 

 

 

 

ジェニファーは

ジェニファーでも、

 

ジェイソン・リーではなく、

 

 

去年、祭りをやった、

 

ジェニファー・グレイ

が主演の、

 

 

映画「ダーティ・ダンシング」

での父親役が印象的な、

 

 

ジェリー・オーバックが、

 

 

相変わらず存在感のある

組合の書記長役で、

 

 

 

 

まるで、

 

映画「アメリカン・ビューティー」の、

 

クリス・クーパーを

見ているようだった、

 


組合の

シンボル的な存在の男を、

 

 

映画「ドント・ブリーズ」での、

 

盲目のイカれた老人役が

印象的な、

 

 

スティーヴン・ラング

が演じていて、

 

 

 


ジェニファー・ジェイソン・リーが、

 

前述した、

 

娼婦のトララ役を

演じているのは、

 

言うまでもなく、

 

 

 

男たちを煽って、

 

自ら望んで

輪姦されるような、

 

 

そんじょそこらの

娼婦ではないところが、

 

いかにも彼女が好みそうな

役どころで、

 

 

 

騎馬警官の先頭を、

 

おニューの服で

自慢げに歩くトララの姿と、

 

 

私の抱いている

彼女のイメージが重なって、

 

 

ジェニファー・ジェイソン・リーは

自己顕示欲が、

 

人一倍、強いのかもしれない

と思ったりもして、

 

 

 


イタリア人一家に誕生した

赤ん坊の洗礼式で、

 

神父役を演じていたのが、

 

 

あの、ジョー・ペシを、

 

バットでめった叩きに

したうえに、

 

畑に生き埋めにするという、

 

 

まるで

カイザー・ソゼのような、

 

 

フランク・ヴィンセント

だったのと、

 

 

 

 

ゲイの青年の

母親役を演じていたのが、

 


映画「ディア・ハンター」で、

 

 

泣き虫スティーヴンの

妻アンジェラ役を演じた、

 

 

ルターニャ・アルダ

だったのが、

 

 

嬉しい発見で、

 

 

 

スコセッシやチミノという

隠し味までも、

 

加わっているように

感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、

 

 

 

いくら、

 

映画「グレート・ウォリアーズ/

欲望の剣」で、

 

 

悪趣味な輪姦シーンを

やってのけた、

 

ジェニファー・ジェイソン・リー

と言えども、

 

 

 

30人以上の

男が関わったと思われる、

 

 

今回の輪姦シーンは

やり過ぎ感があって、

 

 

 

“今度のJ・J・リーは

30人が相手だ!”

 

などという、

 

 

アクション映画にありがちな、

 

キャッチコピーまで

添えられそうで、

 

 

 

このままいくと、

 

 

ジャッキー・チェンや、

 

シルヴェスター・スタローン

などと同じく、

 

 

体を張ってなんぼの、

 

アクション畑の俳優にも

なりかねないと心配したが、

 

 

 

 

体を張った演技が

評価されたのか、

 

 

ジェニファー・ジェイソン・リーは、

 

 

「ブルックリン最終出口」と、

 

映画「マイアミ・ブルース」の、

 

 

二つの娼婦役の演技で、

 

初めて

映画賞を受賞していて、

 

 

 

“つべこべ言わずに体を張れ”

 

 

という彼女なりのセオリーを

確立したように思えた。