映画「恋はデジャ・ブ」タイムループを仕組んだのは? | TO NI LAND 

 

 

映画「恋はデジャ・ブ」を観た。

 

 

 

 

ビル・マーレイを見ると、

 

顔がよく似ている

知人が浮かんで、

 

 

私は自然と頬が

緩んでしまうのだが、

 

 

アンディ・マクダウェルが時折、

 

ピート・バーンズに見えるのが

気になりつつも、

 

永久保存登録されているという

作品だけあって、

 

見応えのある

素晴らしい作品だった。

 

 

 

 

冬眠しているモグラを

叩き起こして、

 

春の到来を

占って貰うという、

 

 

実に能天気だが、

 

アメリカの各地で

実際に行われているらしい、

 

“Groundhog Day”

の2月2日が、

 

永遠に繰り返される現象に

陥った男の物語で、

 

 

その主人公フィルを

ビル・マーレイが演じており、

 

 

彼の見せるモグラの

ものまねがとても上手で、

 

映画「ボールズ・ボールズ」でも

モグラと共演しているので、

 

 

随分、モグラと相性の良い

俳優だと思い、

 

 

兄弟だけあってよく似ている

ビル・マーレイの兄、

 

ブライアン・ドイル=マーレイや、

 

 

この作品での

トラブルが原因で、

 

ビル・マーレイとの

長年の絶縁状態に入った、

 

監督のハロルド・ライミス自身も

精神科医役で出演していて、

 

 

なによりも、

 

僅かなセリフで

数秒しか登場しないが、

 

 

映画デビュー作であるにも

関わらず、

 

すでに、

 

異様なオーラを放ち

威圧的な感じのする、

 

マイケル・シャノンの演技を

見れたのが、

 

ファンの私としては

嬉しかった。

 

 

 

 

 

2月2日から脱け出せない

苦悩をフィルが訴えるシーンで、

 

 

“一つの場所から出られず、

毎日が同じことの繰り返し

ならどうする?”という、

 

フィルの問いかけに対して

知人が、

 

 

“オレの人生も同じだ”

と答えるのには笑えて、

 

 

「ボールズ・ボールズ」に登場する、

 

徹底してブラックジョーク

を言う男もそうなのだが、

 

 

ハロルド・ライミスの

機知に富んだジョークが私は好きで、

 

 

そのジョークを生み出す

彼の明晰な頭脳が、

 

 

“毎日が2月2日だったら?”

 

という大雑把なテーマに対しても

しっかりと仕事をしていて、

 

 

フィルのピアノの腕前で

時間の経過が分かるなどの、

 

 

計算されて

作り込まれた演出が、

 

随所にちりばめられて

いる一方で、

 

 

映画「ラン・ローラ・ラン」や、

 

映画「レディ・プレイヤー1」、

 

映画「ジョン・ウィック」等と、

 

同様のゲーム感覚を

自ずと味わえたり、

 

 

更に、

 

ゲームのリプレイさながら、

 

2月2日を何度となく

繰り返しながらも、

 


リプレイで得た教訓によって、

 

フィルの生きる目的や

心が変化してゆく様は、

 

 

死の受容のプロセスのようで、

 

 

気付けば自分も、

 

“人生とは?幸せとは?”などの

宗教的、哲学的なテーマについて、

 

深く考えているという

追体験的な要素もあって、

 

 

盛りだくさんで、

 

付録満載な雑誌を思わせる

重厚なつくりが、

 

 

この作品の高評価に

繋がっているように思えて、

 

 

 

フィルの恋愛感情を表すのに

ラフマニノフが使われていたが、

 

これも個人的には高評価で、

 

 

先日、酔った勢いで

『ある日どこかで』を弾いた際に、

 

 

最後の左手の和音を

アルペジオにして、

 

ラフマニノフのラプソディ

に繋げると素敵かもと、

 

 

知人から提案された時の

感動を思い出した。

 

 

 

 

 

 

なぜ、

 

2月2日が

繰り返されるようになり、

 

 

どうやって、

 

その呪いが解けたのだろうかと

つい考えたくなるが、

 

 

私は、

 

 

フィルが通りで出会う

老人が鍵であるように思えた。

 

 

 

老人役が、

 

ドン・チードルか著名な俳優なら、

 

そうは思わないかも

知れないが、

 

 

著名な俳優が演じていない老人と

フィルとのエピソードに、

 

どうにも違和感を覚えるのだ。

 

 

 

死期が近い老人だとも知らずに、

 

フィルが冷たくあしらった

戒めとして呪いがかけられ、

 

 

フィルが老人の死期を知って改心し、

 

献身的にその老人を介護しても

運命は変えられなかったが、

 

 

改心したことによって、

 

死に際のシーンで、

 

“明日、おまえの呪いは

解かれるだろう”

 

と老人がフィルに

囁いたようにも見えて、

 

 

その後、フィルが天を見上げるのは、

 

 

冒頭と、エンドクレジットの

流れる雲の映像もそうだが、

 

 

やはり、

 

“神”の存在を匂わせる演出

であるように思え、

 

 

この作品に、

 

映画「天使のくれた時間」で

イメージする、

 

天使が居るとすれば、

 

 

それは老人で、

 

タイムループを仕組んだのは

老人であるような気がした。