何処へかえる | ぴおのブログ

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50代シングル なんとか暮らしを立てています。目まぐるしく変わる時代の中で、ぽつりぽつりと思うことを書いています。


母は認知症と診断されていて

そんな今は

ワタシのことも

わかっているか否か

不明です



キョロキョロ




ワタシや孫娘の名前を小さく

時折呼びますが





母の頭にあるワタシは

今目の前にいるワタシではないようです




今日がいつなのかとかも

わかりませんし




トイレも時々わかる程度




最近はめっきり

お話をしなくなりまして




目線も合いますし

笑ったりしますし

表情もあるのですが




掠れた声で

脈絡のない短い文節を

つぶやいて

あとは黙ってしまいます




母は頻繁に歩きたがります



どこにいくの



声を掛けても

顔を向けることもなく

どこかに向かってあてどなく



そろ

そろ



と歩いて

なんとなく戻ってきます



***



まだ少しはまとまった話をしていた

数年前はよく



「帰ろうよ」



自宅にいるのにふいにそう言うことがあり




お母さんここ家だよ

どこに帰るの




尋ねると黙ってしまいます



*****



ずいぶん前に

認知症対応を専門としている

友人に聞いたことがあります



認知症の人は

自分がいちばん輝いていたころに

記憶が戻っていることが多いよ

今 遠い記憶のその当時を生きている



男の人だったら会社で活躍していた頃とか



女の人だったら子育てしてた頃とか



だから



その頃のその人のことに関心を向けて

その頃のことをたくさん話せるように

会話するといい




それでますます認知症が進んだりはしない

今の自分が不安なんだ

自分は馬鹿にされてない

踏みにじられてないって

安心と

自信が必要なんだ





母のいちばん輝いていたころ



って

いつなんだろう




母がまだしっかりしていたころ

懐かしそうに

少し誇らしげに

いつも話していたのは




幼い頃からの苦労した生い立ちと

父と結婚するまでの紆余曲折




まだ話ができていた

6年前




2晩ほど

母とふたりで過ごしたことが

ありますが

ふたりで枕を並べながら

友人の言ってくれたように




母の言葉をずっと拾って

会話をしたことがあります



母が話して

ワタシは




それでどうしたの?

それはどうなったの?

どんな気持ちだったの?

誰がしてくれたの?

いつもそうなの?

そうだよね。

大変だったね。






思いつく限りの
問いや共感を母にむけて
母にたくさん話してもらいました


すでにワタシを
娘と認識しているかは怪しい頃で


たくさん話し終わって母は



あんた
聞いてくれて
ありがとうね



そう言って
眠りにつきました



ワタシは母の隣で
母に背を向けて
ずいぶん泣きました



たぶん母の


「帰ろうよ」


母が幼い頃過ごした場所
母が娘時代を過ごした
その風景なんだろうな



きらきら
きらきら
していた
うら若きころの自分



ワタシが歳をとって
もし認知症になったら
どの時代にもどるんだろう



ぼんやり考えたりしながら



お昼ごはん



野菜ビーフカレーと

クリームソーダ




控えめにいって最高




いつかはこんなひとときも

古い古い思い出になってしまうから







           チューリップチューリップぴお