Meditations -Chant & Piano | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Tim Allhoff(P)Robert Mehlhart / Cantatorium

このアルバムジャケットは不思議だと思いませんか? タイトルもアーティスト名も何も書いていない。タイトルは書くまでもなく、見ればわかるように宗教音楽なのだろうという察しはつく。ただ、単なる宗教音楽そのものではない。

 

題材はグレゴリアンチャント。グレゴリオ聖歌の研究者として知られるメールハルト神父という方が指揮をしているカントリウムという男性合唱団にピアノを組み合わせるというありそうで無かった共演。荘厳なグレゴリアンチャントの単旋律の合唱の中に穏やかで優しい音色のピアノが浮き上がるように入ってくる。或いは先行するピアノの調べの中にチャントがかぶさってくる。似たようなコンセプトでフランドルのポリフォニーの合唱とジャズトリオの組み合わせによる瞑想風音楽は聴いたことがあるが、グレゴリアンチャント+ピアノは初めて。別々にしてもとてもいい音楽だけれども、二つが合わさってそれ以上のものになっている。

 

ティム・アルホフは1980年ドイツのアウクスブルク生まれで、ジャズ畑のピアニストだがネオクラシックの分野でドイツの有名なエコー音楽賞を受賞したこともあるそうでこのピアノのセンスが素晴らしくよい。最も古い音楽の一つと言われるグレゴリアンチャントと現代のピアノによるモダンな旋律が時を越えて混じり合いなんとも言えない穏やかで癒しの世界を創り出している。

 

2023-162

 

 

 

 

 

via Classic Music Diary
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