DOWLAND,HUME: Come Sorrow | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Ensemble Pres De Votre Oreille (Paraty) 96Khz/24bit 

何の変哲もないアルバムジャケットで何の合奏団かよくわからないけれども中身は良かった。若手ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者ロビン・ファロ率いる古楽団体アンサンブル・プレ・ド・ヴォートル・オレイユによるイギリス・ルネサンス音楽。ダウランド、ロバート・ジョーンズ、トビアス・ヒュームのちょうど1600年頃に作曲された作品集から抜粋してある。ダウランドはリュート歌曲、トビアス・ヒュームはヴィオール歌曲とそれぞれが得意としていた楽器を伴奏にしたエア。当時の欧州最大のヒット曲と言われたダウランドの『ラクリメ』に代表される何となく物悲しい曲調が当時の流行りだったのかもしれない。全体的にメランコリックなトーンで包まれている。トビアス・ヒュームはむしろトビアス大佐として名が通っているように傭兵隊長でありながらヴィオールの名手であり『兵士の〜』と名付けられた歌がいくつもある。必ずしも悲しみのメロディーというわけではなく兵士だって平時は飲んだり歌ったり踊ったりしているのだろう。タバコも大好き。そんな情景が浮かんでくるようような歌を素朴に書き出しているところに魅力を感じる。しかし、ヴィオールを担ぎながら欧州大陸の戦に赴いていたのだろうか。この人については詳しい事がほとんどわかっていないのがまた好奇心をくすぐる中世の作曲家だ。

2023-28

 

 

 

 

 

 

 

via Classic Music Diary
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