KRAFT/ROMBERG : Works for Two Cellos | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Alexander Rudin, Emin Martirosian & Academic Chamber Orchestra Musica Viva Moscow (Naxos)

Anton Kraftと息子のNikolaus Kraft,Bernhardt Rombergという名前を聞いたことがある人はきっとベートーヴェンの伝記とかCDのライナーノーツを読んだりしたのだと思う。

 

Romberg(1767-1841)はまだボンにいた頃のベートーヴェン が彼が弾くチェロの優美な音色に魅せられてチェロソナタOp.5を作曲するきっかけになった人として有名でまた共演もしている。

 

Anton Kraft(1749-1820)もチェロの名手でエステルハージ宮廷楽団に属し、演奏に感銘したハイドンは彼のためにチェロ協奏曲2番を作曲した。その後、Kraft はシュパンツィヒ楽団のメンバーとなるがこの楽団は当初はベートーヴェン の支援者としてよく名前が出てくるリヒノフスキー伯爵、その後はラズモフスキー伯爵の後援を受けたものだった。ヴァイオリニストのシュパンツィヒ自身ベートーヴェン の師であり友人であり信奉者であったのでこの楽団はベートーヴェン の弦楽四重奏1ー6番の初演楽団としてよく名前が出てくる。また、ベートーヴェン の後期の幾つかの初演も行なっている。

 

このようにベートーヴェン と深い関わり合いがあるチェリストとして音楽の歴史には名前を刻まれている3人だが作曲をしてその作品が残されているとは全く知らなかった。このアルバムではそのような珍しいとも言える作品を4つ取り上げている。それぞれ名手としてチェロという楽器のことを知り尽くしているだけあり、とりわけ二重奏での二つのチェロの対話が特筆もので、また異なる音階が重なって作り出す重奏の響きはなんとも美しく、調和感に満ち溢れている。

2022-956

 

via Classic Music Diary
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