2017. 11増刊号 NO.80 かいげん VS かいけん
特例法が制定され今上天皇の退位と改元が2019年のうちに進められる方向となった。
改憲はどうなるのだろう。憲法記念日に突然安倍首相が従来の自民党改正草案と違う内容をぶち上げた。その首相私案で改憲に向かうのか。それでは、つまり憲法第9条に3項を設け自衛隊を明記するだけでは(とくに2項を改正しなければ)、拉致被害者や紛争地に取り残された邦人を自衛隊が救出することは依然としてできない。心ある自衛隊員は喜ぶハズはないだろう。そんな国民に益がないものの為に国民投票までさせると言うのか。
なぜ首相は心変わりしたのか。首相在任中に憲法改正をとの私欲もあろうが、それよりも、下手に憲法を触って米国に朝貢した安保法制の違憲問題が蒸し返しされるのを恐れてということか。それなら、わざわざ忙しい改憲スケジュールを立てる必要もないわけだ。
安倍首相の本音はABE主義として現れる。American soldier(米国人兵士)>海外邦人、Better friend(より親しい友) >一般市民、Elect (特権階級) >低所得者・年金生活者。
国会で改憲私案の真意を問われると首相は今や政府広報紙かと揶揄される読売新聞を読んでと答えた。小泉元首相が10年前の国会答弁でイラク派遣問題において「私にどこが非武装地帯か分かるハズはない」との旨の暴言を吐いたが、それに匹敵するひどい暴言。国会の解散権の乱用もしかり。小泉元首相は国民の望まぬ郵政民営化が参議院で否決されたら衆議院を解散させ、安倍首相は森友・加計学園問題逃れの大義なき(冒頭)解散を断行した。
この対米追随派と目される清和会系の2首相が自民党(ターゲットは経世会)をぶっ壊し主導権を握ると、国会軽視、ひいては日本の政治をダメにした、と言っても過言ではない。
私は、大学生の時正門の近くでヘルメットを被った同級生を横目に見ながら雀荘に通った典型的なノンポリだった。その後も政治に正直深い関心を示してこなかった。しかし、今ことの是非は別として北朝鮮が表向きだけでも世界最強の大国と丁々発止で渡り合っている。台湾が中国からの独立を志向しそのために受ける中国からの嫌がらせに蔡総統が踏ん張っている。それに比し、ここ一連の核兵器禁止をめぐる日本政府の不甲斐なさを見て、棺桶に片足を突っ込んだ年齢になって初めて私の心にナショナリズムの火がついた。
その直後、『革命の侍〜 チェ・ゲバラの下で戦った日系2世フレディ前村の生涯』を映像化した映画『エルネスト』(主人公のボリビア日系人は誇り高き日本人そのものだった)を観た。日本が生まれ変わって14歳になった1959年にチェ・ゲバラが被爆地ヒロシマを訪れていた。反米とはいえチェ・ゲバラが展示写真を見ながら「アメリカにこんなにひどい目に遭わされたのに、なぜ怒らないのか」と問いかけていた。今は70歳をとうに過ぎてしまった日本を叱ってくれる人はいない。『台湾人と日本精神』で日本人を叱咤してくれていた、司馬遼太郎が生前“老台北”と愛称した愛日家蔡焜燦も今はもういない。
日本人自身が、日本を、日本人を叱咤激励するしかない。そもそも日本人は、大戦前から、米国が好きだった。それゆえ米国(GHQ)の占領後もそんなに混乱もせず経済大国にもなれた。(今の日米同盟ではなく)本来の対等での同盟関係を他国と結ぶとなるとやはり米国を真っ先に選ぶだろう。しかし、“罪を憎んで人を憎まず”ではないが、米国を許しても核爆弾の投下を決して許してはいけない。こと核に関する限り米国に正義はない。唯一の被爆国としての立場、矜持を米国に主張する気概を持たず米国の言うままになるのでは、戦争に負けても東アジア諸国から勇気をもらったと感謝された同じ日本人とは言えない。
米国は核兵器がなくても世界最強の軍事大国に変わりはない。核兵器禁止条約に反対なのは、核兵器はなくならないという思いと日本らを顧客とする軍産複合体とっての大きな(核・ミサイル関連)既得権ビジネスということに他ならない。
それは、暴君トランプ大統領もってしても無視しえない。日本に核兵器禁止条約という踏み絵を突き付けてきているということだろう。
遠藤周作原作の映画『沈黙』を観たが、踏み絵を踏まされる時、どうせ踏むならと進んで踏む者がいた。だが、隠れキリシタン組織の長は決してそんなことはしなかった。今の日本のトップは核兵器禁止条約不参加が日本自身を否定していることを理解しているのか。
10/10からの総選挙中櫻井よしこ女史が週刊新潮の連載コラムにて10/12発売の10/19号で「安倍自民党しかない」と結び、10/19発売の10/26号で「政府高官が語る、北朝鮮有事近し」と危機感を煽った。好アシストになったかは分からないが、10/22の投票日には自民党が大勝し、櫻井女史とってはめでたく安倍首相が続投することになった。
総選挙に際しTVで某女性学者が「政治を国民の手に戻す」と言っていたが、お笑い『サンドイッチマン』ボケ担当の富澤さんではないが「ちょっと何言っているかわからない」
日本に限らず米国を見ても、賢者でないトップを賢者でない大衆が支える。賢者でない大衆>賢者な大衆を前提とする民主主義は、バグを起こしやすい(民主主義に代わるモアベターなものがないなら甘受するしかない)。賢者な政治家がしっかりするしかない。
総選挙で注目された小池百合子都知事と(メディアもこぞって持ち上げる)小泉進次郎筆頭副幹事長は、賢者でない大衆をターゲットとするポピュリズム的政治手法による劇場型政治を展開した小泉元首相の亜流でしかなく、中味はスカジャン。国の将来を託せる器とは思えない(「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ということで辛口過ぎるのかもしれないが)。
それでは、ポスト安倍に名があがる自民党大物?代議士はどうなのか。ポスト安倍レースを先行する、岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長は、『週刊ポスト』10月13・20日号の特集「日本をダメにした90人の政治家」の中のPART3『それは負け犬の遠吠えでしかない 安倍一強を招いた「力なき反主流派」』で共に他の政治家と一緒に名前を連ねていた。
記事内容は引用しないが、森友・加計学園問題においても「首相は説明責任を果たすべき」はメディアに向けてではなく、直接首相に言えばよいこと。本来問題発覚の早い段階で自民党内にて自浄すればよいものを国会に持ち込むから、国会は空転し、本当のことが言えない大臣や副大臣、さらに官僚まで国民の前に無様な姿をさらけ出すハメになる。
反主流派は、自らの手を汚さず、野党や国民に安倍首相の足を引っ張ってもらうのを期待しているのか。真に国の将来を憂うる気持ちがあるのなら、何としても自らの力で政権を奪取しようとするものではないのか。
国民の審判で自民党自体は信任を得た。小選挙区制で野党側が分裂してしまったら当然の帰結であり、別に安倍首相自身が信頼を取り戻した訳ではない。月刊『新潮45』11月号(10/18発売)の特集「落選させたい政治家13人」の中でかの歴史家保坂正康氏に(ABC3段階の)Cランクの首相として歴代首相の中でもとりわけ安倍首相が酷評されていた。
そんな安倍首相にものが言えないようで、どうして米国にものが言えようか。
腹が立ってしょうがない(老人性認知症の前触れか?)。「昼間からやけ酒だ!」と言ったら、妻に「何アンタごときが上から目線でイキっているの? 呑むより血圧でも測ったら」と返された。良き妻を娶ったものだ。いつも心の傷にすりこんでくれる。たっぷりの塩を。