
朝起きて、
「あ、今日はなんか調子いい」
と思う日がある。
痛いところが少ない。
身体が軽い。
頭もぼんやりしていない。
それだけ。

若い頃なら、
体調がいいなんて、
わざわざ喜ぶことでもなかった。
朝起きたら普通に動ける。
歩ける。
階段も上れる。
寝ればだいたい回復する。
それが普通だと思っていた。
ところが60代。
朝起きて、
「今日は肩がマシ」
「今日は腰がマシ」
「今日はなんとなく元気」
となると、もう小さな祝日である。
カレンダーに丸をつけたいくらい。
しかも困るのが、体調のいい日に限って、いろいろやりたくなること。
「今日は元気だから、掃除もしよう」
「買い物も行こう」
「ついでにあれもやって……」
そして夕方、
「あれ?今日、元気だったはずなのに」
となる。
……そう。
60代の「元気」は、使い放題ではないらしい。
残量表示が見えないスマホみたいなものだ。
調子がいい日は、調子に乗らない。
これ、大事。

最近は「今日は体調がいいから頑張ろう」
ではなく、
「今日は体調がいいから、ちょっと楽しもう」
と思うようにしている。
好きなものを食べる。
ゆっくりお茶を飲む。
少し遠くまで出かける。
気になっていた本を読む。
そして、早めに休む。
「元気だから動く」のではなく、
「元気だから、元気を味わう」。
これくらいが、今の私にはちょうどいい。
明日も元気かどうかなんて、
誰にもわからない。
だから今日は、
「普通に動ける」
という、昔は気にも留めなかった幸せを、
ちゃんと喜んでおこうと思う。