ことばの物語
〖鬼・平安京〗Ⅴ
鬼は「物の怪」の代表格。人であらざる怪(あやかし)
の物であります。
語源は「穏=おぬ」、つまり「隠れたもの」。
≪朱雀門の鬼≫
朱雀門は京都の大内裏の外郭の南にある正面門で
羅城門は都を囲む城壁の正面門で、朱雀大路の南
端にあります。
共に度々の火災や災害で荒廃していました。
そこの楼閣に死体が捨てられ、盗賊が住み、鬼が
住むようになります。
〇名笛葉二つ
ある夜、雅楽の名手・源博雅が朱雀門の下で笛
を吹いていました。
すると、向こう側から鬼神らしき者が同じように
笛を吹きながらやって来ます。彼の吹く笛の音
はこの世のものときは思えない妙なるものであ
りました。その夜は二人とも声をかけるともなく
過ぎて行きま来ました。
それからというもの、博雅がそこで笛を吹くと
必ずその貴人がやって来ます。
ある夜のこと、博雅は自分の笛とその者の笛を
交換しました。
その後、博雅は亡くなりますが、博雅の持ってい
た笛が名笛であることを知っていた帝は、浄蔵
という笛の名手にその笛を吹かせます。
そして帝は浄蔵にこの笛を朱雀門で吹かせて
みます。
浄蔵が朱雀揉んでその笛を吹くと、朱雀門の
楼上から声が聞こえます。
「今もなお、この笛は良い音がすることよ」と。
この時、この笛は朱雀門の鬼のものであるこ
とが分かりました。
この笛に赤と青の葉が一枚ずつ描れていまし
た。これから「葉二つ」と名付けられました。
鬼がくれた美女
「長谷雄草子」にあるお話し。
中納言・紀長谷雄に、異相の男がやって来て双六
の相手を所望し、朱雀門の楼上で勝負をします。
長谷雄は尚武に勝ち、約束によって絶世の美女
をえますが・・・・・
その美女は朱雀門の鬼(異相の男)が、死んだ女
たちの美しい所を寄せ集めて作ったものでありま
した。そして伝えます「百日経つと霊が定まり完全
な女になる」と。
ところが、長谷雄はあまりの美しさに辛抱できず、
遂にこの美女に手を出してしまいました。すると
この美女は水となって消えてしまったと。
羅城門の鬼
ある夜、源頼光の四天王たちが酒を飲んでい
ました。そこで羅城門に夜な夜な鬼が現れるとい
う話をしていました。
渡辺綱がそれを聞いて「大江山で全て退治した
はずだ」と言って、羅城門に鎧を着けてして確か
めにいくことになります。
何も現れることなく帰ろうとすると、馬が動かなく
なります。すると鬼が背後から現れ、綱の兜をつ
噛みます。綱はその腕を太刀を抜いて切り落とす
と、鬼は「時節を待って取り返すべし」と言い残して
去って行ったと。
なにか同じような話が?
そうです、これは「一条戻り橋」の焼き直しだそ
うです。
琵琶の名器「玄象(げんじょう)」
「今昔物語」にあるお話し。
村上天皇の御代、玄象と名付けられた琵琶が
消失します。もし人が盗んだのであれは、天皇の
寵愛の品であるから持っているわけにはいかな
いだろうから、すでに壊されてしまっているだろう
という話になっていました。
管弦の名手・源博雅が清涼殿の宿直をしている
時、南の方向から玄象の音色によく似た琵琶の
音がしてきます。音をたどって行くと朱雀門を過
ぎ羅城門に至りました。
そこで「これは人が弾いているのではあるまい。
鬼などが弾いているのではあるまいか」と言うと
音がぴたりと止まり、縄に結び付けられた玄象
が下ろされてきました。
(鬼も褒め言葉には弱いようですね。俺の腕前
が分かるいい奴だということで、返したんでしょ
うね。)
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房・井上義昌編
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫
ニッポンの謎学/永岡書店
