ことばの物語
〖祝・呪〗
いわう・のろう
何となく似ていますね。でも、意味は真逆であります。
いいこと、わるいこと共に願いであります。
「祝」は祭壇で幸せを願うこと。
「呪」は祭壇で不幸を願うこと。
白川先生の字書によると、
<「兄」は「口=祝詞(のりと)を入れる器」に「儿=人」で
この器を頭に戴いている人を横から見た姿で、神を
祭る人を表す。
兄弟のうち、家の祭ごとを担当したのが長男である
ので「あに」の意味となる。>とありました。
※他の二つの字書は「兄=頭の大きい人の象形」で、
大きく成長した年長者(あに)の意味。
「祝」は「示=神を祭る時の祭卓の前で神を祭ること」
を意味しています。
和訓の「いわう」の語源は「斎(い)わう」で、神聖なも
の表します。(忌む・祈りと同源)
「呪」は、「口=言葉を発する」を強調して、神に
他人に不幸や災いをもたらすことを表したもの。
(呪詛の言葉・異字体→咒)
[字義]
・のろう・・・相手が不吉な目に遭うことを祈る。
→呪詛
・まじない・・・仏教で経文の他にある短い祈り
の文句。→念呪
和訓の「のろう」の語源は「告(のろ)う」からだそ
うです。「告(つげ・る)・宣(のべ・る)」は、もともと単
にいうだけでなく、一種の呪いの発言を意味し
ていました。
≪禅語≫
〖八風吹不動〗
「八風吹けども動ぜず」と訓じます。
〖寒山詩〗にある一節であります。ここで言う
「八風」とは、人を惑わす八つの出来事という
ことであります。
つまり、仏道修行を妨げる欲望、慢心というこ
とであります。
[八風]
<四備>
利・・・目先の利益
誉・・・名誉を受ける
称・・・称賛される
楽・・・様々な楽しみ
<四違>
衰・・・肉体の衰え・金銭、物品の損失
毀・・・不名誉を受ける
譏(そしり)・・・中傷される
苦・・・様々な苦しみ
※寒山は唐時代に天台山の国清寺いたとさ
れる伝説的な乞食僧で、拾得とともに有髪の
姿で描かれます。
その姿はボロボロの衣を着て、木靴を履いて
いて、厨房を任されている拾得から残飯をも
らっていたという。寺僧に咎められると大笑い
をして逃げて行ったと。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫