ことばの物語
〖虎豹之文〗
こひようのぶん
『荘子』にある言葉で「才智のある人間はその才
能と知識の為に、かえって災いを招くたとうえ」で
あります。
虎と豹は毛皮の文様が美しいために、かえって
人々に狩猟の気を起こさせるということであります。
対人の場合はその才智が嫉妬っとを買い、足を引
っ張られるということであります。
荘子の考えでは、平凡で目立たない方がかえって
幸せな人生を過ごせるということですね。
目立ちすぎると「屁をひれば 右と左に泣き別れ」
なんて、爽快さは味わえないものであります。
武士道の『葉隠』に次のようなことがかかれてい
ます。
<若いうちから出世しても長続きはしないものである。
(若くて出世すると、嫉妬で周りから協力は得難いもので
すね。社会においては、協力無くして物事は成し遂げら
れないものであります。)
五十歳くらいから少しずつ仕上げていくのがよい。
少し出世が遅いように見えるくらいが、周囲の者も
味方してくれ、若いうちから出世するよりも永く務め
られる。>
文ーふみ・あや・ブン
字の成り立ちは「正面を向いた人の胸に入れ墨
(文身)を入れた形」とされます。
別説では「布に施された刺繍の模様」から生まれ
たもの。
入れ墨説は、死者の胸に呪いとして朱色で書か
れたもので、死者の霊が体から抜け出さないよう
にし復活を願うもの、及び邪霊が憑(よ)りつくこと
を防ぐ儀式からだそうです。
≪仏教語≫
〖阿形・吽形〗
あぎょう・うんぎょう
〈金剛力士〉
仏教の護法神であります。梵語で「金剛杵(しょう
)を持つ」という意味からだそうです。
我々になじみ深いのは寺院の門表の左右に立
つ阿形・吽形像でありますね。
二体一組で立つところから「仁王」と呼ばれるよう
になります。
阿形は口を大きく開けた怒りの姿、吽形は怒り
を内に秘めて、きっと結んだ口の怒りの姿であ
ります。
共に寺院内に仏敵が入り込むのを防いでいます。
〈狛犬〉
魔除けの獅子と犬。口を開けている方が阿形の
獅子で、口を結んで一角を持つのが吽形の狛
犬であります。
狛犬はインド伝来のもので、獅子の姿のものであり
ましたが、日本に伝来した時に、獅子?日本犬と違
う種の犬?となったようですね。
これが明確に区別されるようになったのは平安時代
からのうでが、後にまた混同されるようになったと。
名前の由来は高麗(こりょ・こま)から伝来したや獣像
ところからであります。
別説に「拒魔=こま(まをこばむ)」というのがありま
した。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫