ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖鴛鴦〗
おしどり・エンオウ
仲睦まじい夫婦を「おしどり夫婦」と言いますね。
和訓の「おしどり」の語源は「ヲシ=愛(いとおし)」が
鳥の名になった者だそうです。
おしどりはカモ科の鳥で、アヒルやカモによく似て
います。
「鴛」は雄で、雌よりも大きく繁殖期には美しい姿に
なり、羽根にイチョウの葉形の飾りがあるところから
「銀杏羽(いちょうば)」とも言われます。
「鴦」は雌で、灰褐色をしています。
〖鴛鴦之契〗
えんおうのちぎり
『捜神記ー韓憑(かんびょう)夫婦』のお話し。
<中国の宋国の康王の臣下に美しい妻を持つ韓憑
という者がいました。康王は彼の妻に横恋慕し自分
のものとして取り上げます。韓憑が抗議すると、彼
に罪を着せ四年の刑に処し、牢獄に閉じ込めてし
まいます。
妻は牢獄の韓憑に手紙を書きます。
「長雨が振降り、河幅が広くなり水が増しています。
日が出て私の心にあたります」。
王はその手紙を手に入れて読みますが、意味が解
りません。それを側近が解釈します。
「長雨とは深い思いのことで、水が増すとは往来が
できないことで、日が心に当たるとは死ぬという気
持ちを表しています」と。・・・・・・・
・・・・・・・・・
獄中の韓憑は自殺します。
それを知った妻は高楼から飛び降りて死んでしまい
ます。その妻の帯には「夫と合葬してください」との
遺書がありました。
しかし、王は腹立たしく思うばかりで、二つの墓を
臨み合うようにして建て「お前ら夫婦は愛し合って
いるというなら、二つの墓を一つにしてみよ」と言い
捨てました。
すると、一晩のうちに両方の墓から梓の木の芽が
吹きだし、十日で一抱えもある大きさに成長し、根
は地下で一つになり、枝は上で重なり合い、そこに
雄と雌の鴛鴦が樹上に棲み、朝晩哀しい声で鳴い
たと。
この樹を「相思樹」といい、相思相愛の言葉の源と
なりました。>
≪仏教語≫
〖和顔愛語〗
わがんあいご
道元が言っています、
「愛語は愛心よりおこり、愛心は慈心を種とせり。
愛語よく廻天の力あることを学すべきなり」と。
「愛語はよく廻天の力」とは、あらゆる困難を一変さ
せる力」ということであります。
和顔愛語
「和顔」はやわらかでやさしい顔で、「愛語」はやさし
い思いやりのある言葉のことですね。
幼い我が子に接する母親の姿そのものですね。
この言葉は仏典『無量寿経』に出てくる言葉だそう
です。
無財の七施の中にも掲げられています。
無財の七施
「いいこだね・かわいい」などと子供に声をかけると、
子供はえ満面の笑みを返してくれます。
抱きしめたいほど愛おしくて、心が癒されますね。
このように、金・物が無くても、与えることのできる
布施のことで、自分も他人も幸せにするものであ
ります。
○眼施・・・優しい眼差し
○和顔施
○言辞施(=愛語施)
○身施・・・体を使って困っている人を助ける
○心施・・・思いやりの心を持つ
○床座施・・・席や場所を譲る
○房舎施・・・風雨などをしのぐ場所を提供する
どうですか。これ、日本の道徳教育の基本ですね。
世界的に「日本人は親切で、やさしい」という民力の
高さが、まるで別世界と高く評価されていますね。
異国の人は日本人総体のお客様ですね。
絶対に悪さをして、国民を汚すようなことをしないで
欲しいものであります。
ひょっとすると、世界平和を実現できるのは、日本
のこの民力かもね。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経の文庫