ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖杞憂〗
きゆう
杞憂というと「取り越し苦労」のことでするね。
「取り越し」しは「期日を繰り上げる」ことで、「取り越
し苦労」というと「将来・先行きについて心配するこ
と」であり、その時に到って、「ああ、取り越し苦労だ
ったね」と判るかるものであります。
今ここに無事であることを考えれば、人生は取り越し
苦労の連続でありますね。
<『列子ー天端篇』にあるお話し
中国の春秋時代、杞国に天地が崩れ落ちてくるん
じゃないかと憂え、夜も昼も眠れず、食事も喉を通
らない人がいました。そこへ彼のことを心配した友
人がやって「天は空気だから落ちてくるもんか」と言
うと「だったら、太陽や月や星はどうして落ちてこな
いのか」。「あれは空気が輝いているだけだ」。「そ
れじゃ大地はどうなんだ」。「それは、分厚い土の
層がぎっしりと詰まっているから、崩れはしないよ」。
そしてその男はやっと安堵しました。>
これには続きがあって、天地が崩れる可能性を説く
ものが現れて、崩れるかも知れないし、崩れないか
も知れないとなって、ならばわからないことを心配し
ても仕方がないという結論に至ったと。
≪仏教語≫
〖安心〗
あんじん
日常語としては「あんしん」と読み、「心が休んでい
ること」、「気がかりなことがなくて、心が落ち着く
こと」をいいます。
この「安心」の大元は儒教の「安心立命」であります。
「安心立命」は「人力を尽くし、身を天に任せ、どん
な場合でも落ち着いていること」を言います。
これを禅僧の菩提達磨が、初めて仏教で用いまし
た。
仏教語の「安心=あんじん」は「心を一つ所に止住さ
せて、不動である」ということであります。
聖道門(浄土門に対する諸宗派)では、各々心のあり
か洞察して、恐怖や不安から解放されて悟りの境地
に達し、心の安らぎを得て、種ょ体制を確立すること
とされます。
浄土門では、阿弥陀如来の救いを信じて、浄土に
往生を願う心としています。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ