ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖桜〗
さくら
和訓の「さくら」の語源には三説ほどありました。
1.日本神話に出てくる木花開耶姫(このはなさくやひめ)
という女神さまの名から。
※「古事記」には木花之佐久夜毘売と表記され、
「日本書紀」には木花開耶姫と表記されています。
他に木花咲伽耶姫という表記もあります。
木花開耶姫は天皇家の祖先・邇邇芸命(ニニギノミコト)
の妻で、海幸彦、山幸彦の母親であり、富士山本宮
浅間神社の祭神であります。
【余談】
美しい木花開耶姫の父・大山津見神は、邇邇
芸命(ニニギノミコト)に娘を嫁入りさせるにあたり、
姉の石長比売(いわながひめ)を一緒に嫁がせま
すが、邇邇芸命は醜女の石長比売を嫌って、彼
女を返してしまいます。
これは大変なことをしでかしたんですね。
親心で、大山津見神は「岩のように永遠の命を
授ける力を持つ」石長姫を贈ったのでありまし
た。
これより、天神の子孫とされる天皇に寿命が生
じたのであります。広くとらえると、人間に寿命
があるようになったということですね。
2.「さ」は田の神で「くら=座」で神の依り代という意。
春に花を咲かせる桜は、田の神が山から下りて来
て憑依したことを示し、田の神を祝うため桜の花の
下で飲食を共にし、豊作を祈ったという。これが現
在の花見につながっているようですね。
3.単純に、「咲く+ら(接尾語ー複数を表す)」。
一気に多くの花が咲くことからでしょうね。
≪仏教語≫
〖威儀〗
いぎ
「威儀を正す」というと、身なりを整えることとして使わ
れますが、「威儀」とは、重々しくいかめしい挙動、法
則にかなった振る舞いのことであります。
これは、仏教の規則・四威儀からであります。
その規定は「行ーいく」、「住ーととまる」、「坐ーすわる」
「臥ー横になる」という行動の基本動作に対する規定
のことであります。なお、袈裟についている結び紐の
ことをもいいます。
この規定は、日常の行・住・坐・臥そのものが修行で
あるとも言えますね。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ