ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖象〗
ぞう
像はゾウ目(長鼻目)ゾウ科に属るする哺乳類。
よく知られるのがアフリカ象とアジア象で、性質の
比較的おとなしいアジア象は、荷運びや移動手段
として使われ、気の荒いアフリカ象は戦象として
軍用にも使われたようです。
歴史に残るのはカルタゴとローマの戦い(ポエニ戦
争)で、カルタゴのハンニバルが三十頭あまりの戦
象を連れてアルプスを越えて、イタリア半島へ攻
め込んだことですね。(ザマの戦い)
最終的には第三戦で、ローマの勝利となりました。
日本には棲息していなかったようですが、正倉院
宝物殿に「紅牙撥鎮尺(こうがばちるしゃく)」という象牙
の尺が納められているそうで、これは奈良時代に大
陸からもたらされたものであります。
象牙の木の目のような模様から、古語で象のことを
「きさ」と称したようです。
漢字の成り立ちは、甲骨文字で象の姿を縦に描い
たものであります。
中国の殷の時代には黄河流域にも象がいたようで、
殷墟からは象牙細工も出土しているようです。
象牙は宝玉と同じように高価なものでありました。
司馬遷の『史記』に次のような話があります。
ー箕子の憂いー
<古代中国の暴君として知られる(酒池肉林)殷の
最後の王(第30代)紂王が象牙の箸を作ったと聞
き、賢人の箕子は「象牙の箸を使うなら陶器の器
では満足できず、玉の器を作るようになるだろう・・
・・」と危惧し、贅沢を止めるよう諌言しますが、紂王
は聞き入れず、身の危険を感じた箕子は狂人を装
って奴隷の実となりました。>
〖ガネーシャ〗ーインドー
ガネーシャはヒンドゥー教の神で、仏教に取り入れ
られ歓喜天となります。
姿は象の頭部に人身で、富・夫婦和合の神様であ
ります。
<頭部が象に成った訳>
カネーシャはシヴァ神とその妻パールヴァティの
子供であります。
シヴァとパーウァティは身体を水で清め、その身の
汚れを集めて人形を作り、その人形に命を吹き込
みガネーシャを作りました。
ある時、パールヴァティの命でガネーシャが浴室
の見張りをしていました。そこへ、シヴァ神が帰っ
て来ますが、シヴァ神が父親と知らないガネーシャ
はシヴァが浴室に入ることを阻止します。それに激
怒したシヴァはガネーシャの首を刎ね、遠くへ投げ
捨てます。ガネーシャが我が息子と知ったシヴァは
あわてて息子の首を探し回りますが見つからず、お
もわず最初に出会った象の首を刎ねて、ガネーシャ
にくっつけました。>
釈迦の母マーヤ夫人は、六牙の白い像が、夢の中
で胎内に入るのを見て懐妊しましたと。
白い像は神聖なものとされ、普賢菩薩や帝釈天の
乗り物とされています。
<仏教語>
〖安居〗
あんご
一般に日常語として「あんきょ」と読まれ、心安らか
に暮らすという意味で用いられます。
仏教では「あんご」と読み、サンスクリット語の「ヴァル
シャ」の漢訳で「雨・雨期」をいみしています。
これは、雨期の陰暦四月十六日~七月十五日まで
遊行にでず、室内にこもって修行することで、雨安
居、夏(げ)安居と言われるものであります。
雨期になると、草木は芽吹き、虫などの小動物の活
動が活発になり、それらを踏み殺してしまわないため
だそうです。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ