ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖疑心暗鬼〗
ぎしんあんき
心に疑いがあると、何でもないことまで恐ろしく思え
たり、疑わしく思えてきたりするという意味で用いら
れますが、これは『列子』にあるお話からで、
「疑心暗鬼を生ず」ということであります。
ことばそのもののい意味は「疑いの心があると、暗
闇の中にいるはずもない鬼の姿が見える」というこ
とですね。
<ある男が大切な斧を無くしてしまった。どこで無くし
たか見当もつきませんでしたが、隣の息子が怪しい
と思い始めました。外で出会うと自分を避けている
ように見え、ますますあやしく思うようになります。
間違いなくあいつだと思い込んでいるところに、
ひょつこりと盗まれていたと思っていた斧が出てき
ました。それからは隣の息子を見かけても、何ら変
わった様子は見えなくなったと。>
日本のことわざでは「幽霊の姿見たり枯れ尾花」で
ありますね。
中国の鬼は霊魂のことをさします。精神に宿るのが
「魂=こん」で、肉体に宿るのが「魄=はく」というと。
鬼神ーきじん
死んだ者の霊魂を神として祀ったもの。
特に「おにがみ」と読むと、恐ろしい神の意味とされ
ます。この荒ぶる神の鎮魂のため、神として祀ったん
でしょうね。
また、超自然の力で「陽」に当たるものが「神」で、
「陰」に当たるものが「鬼」とされるようです。
僵尸ーキョンシ(=殭屍)
中国の死体の妖怪。
死体が突然起きだして暴れたりしますと。これは、死ん
で魂が天に昇り、身体に宿る魄が何らかの理由によっ
て体に残ったものだそうであります。
<仏教語>
〖覚悟〗かくご
「心構え」とか「観念する・あきらめる」という意味です
が、これは本来は仏教語で「迷いを去り道理を悟る」
ことでありました。
「覚」も「悟」も「さとる」と言う意味ですが、これはサンス
クリット語の「ジャーカラ=目覚め」の漢語訳のために
作られた言葉でありますとありました。
「覚」は仏教で最も重要とされます。
覚悟は「覚りをあきらめる」ということで、「あきらめる」
はもとは「明らめる」で、「明らかにする」という意味で
あります。同義語を重ねて強調したものですね。
<漢字の勉強>
疑ーうたがう・ギ
甲骨文字で左側の字は「人が頭を下げて思いをこら
せてじっと立った姿」をあらわしたもので、これに金文
では「彳=行=十字路の形をかたどったもの」に「止=
足跡でとまる」に「牛」を付し、のろまな牛のようになる
意味を表した。
いろんな意味の漢字がくっついて、なにとも疑わしい
字解でありますね。
覚ーおぼえる・さめる・カク
元字は「覺」。
「學=まなぶ」に「見」で学んではっきり見えるの意味
からさとる・目覚める・はっきりあらわれるの意味。
(補)
見聞きした刺激か一点に交わってまとまり、はっきり
知覚されること。
悟ーさとる・ゴ
「心」に「吾=晤(あきらか)に通じ、明るくなる」で、心
が明るくなる、さとりの意味を表す。
(補)
心の迷いを退け、心の明るさを守ることであり、それで
物事の道理を明らかに知ることができる。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
