ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖鶏鳴狗盗〗けいめいくとう
「鶏鳴」は、鶏の鳴きまねをすること。
「狗盗」は、犬のようにこそこそと物を盗むこそ泥。
くだらない才能のことを言いますが、つまらない才能
も時には役に立つということであります。
<中国の戦国時代、斉の王族の孟嘗君は数千に及
ぶ食客をかかえ、その名は広く知られていました。
ある時、秦の昭襄王に招かれ軟禁されます。そこ
で命の危機にさらされ、脱出するために昭襄王の
愛妾に取り入り、助けをこうと、愛妾は「狐白裘」を
くれるなら助命を頼んでやるといいます。
狐白裘はすでに昭襄王に献上していて、秦王の
蔵にしまわれています。そこで、共として連れてき
ていた食客に狗盗をなす者がいたので、秦王の蔵
から盗み出させ、狐白裘を愛妾に渡し、助命が功
を奏し釈放されます。孟嘗君は名を変えて逃亡をし
ますが、国境の函谷関(関所)は夜中で閉まってい
ました。今度は鶏の鳴き声がうまい食客に鶏の鳴
き声をまねさせると、近隣の鶏が一斉に鳴き始め
関所の役人は夜が明けたと思い、関所の門を開
け、迫る追手から逃れることができました。>
<仏教語>
〖正念場〗しょうねんば
大事な局面のことをいいます。
また、歌舞伎や人形浄瑠璃の大切な見せ場のこと
を「性根場」と言ってたものが、「正念場」に転じて
用いられるようになりました。
この元は仏教の八正道の一つ「正念」からであり
ます。
「正念」はと、よこしまな心を離れて真理を求める心
を常に忘れないことで、雑念を去った心の安定を求
めるものであります。
[八正道]
八正道は仏教の実践徳目のことを言います。
正見・・・仏道修行によって得られる仏の智慧。
(諸行無常を感得する)
正思惟・・・正しい考え・正しい意志。
(欲・怒り・愚痴を離れた邪でない思い)
正語・・・綺語(おせじ)・両舌(二枚舌)・悪口(誹謗中傷)
妄語(うそ)を離れ、優しい温かい言葉を使う。
正業・・・正しい行為。
(殺生・偸盗・邪淫をしない)
正命・・・正しい生活。
(戒律を守り正しい生き方をする)
正精進・・・正しいところに向かって努力する。
正念・・・心を鎮めて一に集中し、正しい信念を持つ。
正定・・・これら七つを総括するもの。
<漢字の勉強>
鶏ーにわとり・ケイ・ケ
「奚=爪(手)+幺の下に大で、ひも」で、紐でつない
で飼う鳥。
鶏はキジ科の鳥で、和訓の語源はずばり「庭の鳥」
であり、和名の古語は「カケ」といい、これは鳴き声
からだそうでが、漢音の「ケイ」も鳴き声からであり
ます。
古代中国では五徳を持つ鳥とされます。
文ー頭に冠を戴く。
武ー足に蹴爪をもつ。
勇ー敵と戦う。(闘鶏で見受けられますね。)
仁ー職を見つけて呼び合う。
信ー夜を守り時を失わない。
(夜に鳴かずに朝に必ず鳴く)
他に鶏は霊力があると考えられていて、除夜に門に
懸けて邪気を払う風習がありました。
狗ーいぬ・・ク
「犭=犬」に「句=小さく区切る・ちいさい」で、小犬。
また、子犬のことをも言います。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
