ことばの物語
≪かなしー哀・愛・悲≫
〖招魂〗
人が死ぬと、死者の衣の襟もとに祝詞(のりと)を入れて
お祈りをする。こうして、死者をあわれみ、死者の魂をよ
びかえす(魂よばい・招魂)儀礼を哀といい、「あわ
れむ・あわれ・かなしい」の意味に用いる。
死者の襟もとに玉をおき、枕もとに「之(行くの意)」を加
えて死者が死後の世界に旅立つのを送ることを示すの
が「袁(遠のもとの字)」であります。
死者の衣の襟もとに麻の喪章をつけて災いを祓うこと
を示すのが「衰」。
(参:常用字解/白川静著)
〖招魂祭〗
道教で行われる祭祀、呪術の一つで、死者の魂が
離散しないように行われるものであります。
和訓の「かなし」は古語の「かぬ」からで、「~しか
ねる」という意からで、自分の力ではとても及ばない
と感じる切なさを表す語としたものです。
この語は、哀しいの意にも、愛(いと)しい意にも、
深い感情を表されるのに用いられていました。
哀ーかなし・あわれ・アイ・オ
字の成り立ちは「口=くち」に「衣=覆い隠す」で、
かなしみを胸の中にふさいでいっぱいに詰め、ため息を
つく状況。
【補】
「哀は愛なり」で、語源を同じくすると。
ともに切ない気持ちという共通点があります。
「愛」は切なくて胸が詰まる感情。
「哀」は悲しみで胸がふさがる感情。
悲ーかなし・かなしい・ヒ
字の成り立ちは「非=二つに分かれる」に「心」で、
心が二つに裂けるような痛切な気分を表す。
【補】
「非」は鳥が飛ぶときに翼が反対向きになっている
情況。
「悲」は俳と扉と同源で、俳は右に進んだり左に進ん
だりして、滑稽な仕草をする芸人で、扉は両側に開く
ところから。
「哀」は表面に表すまいと胸のうちに秘めた
かなしみ。
「悲」は他人に悟られるほど表面に表れる
かなしみ。
愛ーめでる・いつくしむ・いとおしむ・アイ
異字体は「炁」。
字の成り立ちは「旡=食べつくす+心」。
「旡」は、満腹で胸いっぱいになり後ろを向いた姿で、
物事が済んで立ち去る人。
これから、「心にかかる」「振り返ろうとする気持ち」で、
それに「夂=おくれる・足を引きずり歩く人の姿」を付し
たもので、心残りを感じて、振り返ろうととしてる様子
をあらわしたもの。
衰ーおとろえる・もふく・スイ・サイ
字の成り立ちは「衣」に「冄(ぜん)=冄形の麻の喪章」
で、喪服の意味となる。衰は縗(さい・もふく)のもとの字。
葬儀の時は平成行う礼を控える(減衰)ので「よわる・
おとろえる」の意味となった。
別説では衰は「草で作った雨具の象形(蓑)」で、音が
卒に通じ、また字形も卒と共有する部分があって、おと
ろえるの意味となる。
(字の成り立ちは解りますが、解釈が納得いきません
ね。)
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
