ことばの物語
<にんげんー人間2>
〖人〗
「人間とは、二本足で歩く羽根のない動物」だとプラトン
は言いました。
すると、狂ったソクラテスとあだ名されるディオゲネス
は、毛をむしった鶏を持ってきて「これがお前の言う
人間のことかね」と、プラトンに見せつけます。
プラトンはそこで「平たい爪をした」ということをつけた
したと。
「人」字の成り立ちは「人を横から見た姿」と解釈され
ます。
ちなみに、人を正面から見た姿か「大」で、両手両足を
広げて立つ姿でありますね。
私は「人」は大股で歩く姿に見えるんですが、甲骨文字
をみると、腰が少し曲がった人が手をだらりと垂れてい
るように見えます。私には、年老いてやっと労働から解
放された人のように感じます。
たしかに、人はこのような一生をおくるのが知れません。
漢語では「人」のことを「裸虫」と分類しています。
※「虫」は昆虫のことですが、漢語には「動物の総称」
の意味をも持ちます。
羽虫は鳥類・毛虫は獣類・甲虫は亀などの類・鱗虫は魚類、
また鱗のある動物
〖ギリシア神話では〗
モータル(morta)ー死すべきもの・人間
イモータル(immorta)ー不死のもの・神
〖人間の定義〗
ホモ・サピエンス・・・英知の人(リンネ)
現生人類が属する種の学名になっています。
ホモ・ファーベル・・・工作人(ベルグソン)
人は道具を作る存在。それにより、生活を豊かにしました。
ホモ・ルーデンス・・・遊戯の人(ホイシンガー)
遊戯が人間活動の本質で、文化を生みだす根源とする人間観。
ホモ・シンボリクス・・象徴する人(カッシーラ)
象徴は言葉や記号のことで、他に気持ちや考えるのに
言葉という抽象的な象徴を使う。
人という字は「人が人を支える形」などという解釈を聞きま
すが、これはまさしく「仁」ということでありますね。
「仁」という字は「人が二人」と書きます。人と人との間に
通う親しみの意味を表しています。
「漢辞海」には「釈名(200年頃の中国の辞書)」からの引用が
ありました。
<「人」は「仁」である。生きるものを仁(いつくし)むもので
ある。 したがって『易』に、人の道を立てるのを仁と義と
いう。>
「仁」の実践が「礼」であるとしています。
人道とはまさしく菩薩行の「慈悲」の心でありますね。
「慈」はひとに喜びを与えること、「悲」は人の苦しみを取
り除いてやることという解釈があります。
〖神仏が戒める人道=人倫〗
[モーセの十戒]
(神に対する愛)
1.ヤハウエの他なにものも神としない。
2.主たる神の名をみだりに呼ばない。
3.安息日を記憶してこれを聖とすること。
(他人に対する愛)
4.父母を敬うこと。
5.殺さないこと。
6.姦淫しない。
7.盗まない。
8.偽証しない。
9.他人の妻を恋慕しない。
10.他人の所有物を貪らない。
「仏教の五戒」
1.不殺生・・・生き物を故意に殺してはならない。
2.不偸盗・・・他人の物を盗んではならない。
3.不邪淫・・・不道徳な性行為を行ってはならない。
4.不妄語・・・嘘をついてはならない。
5.不飲酒・・・酒を飲んではならない。
最後に、アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』から。
<【人間】
これが自分の姿だと思う姿に、ひとり恍惚として思いにふけ
り、どうぜんあるべき自分の姿を見落とす動物。その主要な
仕事は、他の動物たちと、自分の属する種族を絶滅すること
である。しかし、人間は注目に値する早さで増加し、地球の
住める所ならどこでもはびこる始末である。>
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
