ことばの物語
≪札の絵札 3≫
4月 藤にホトトギス
藤の花が咲くころにホトトギスがやってくる。
「ホトトギス」には多くの漢字があります。
その代表が「不如帰」であります。
この字には逸話があります。この逸話から他に
「杜宇・杜鵑・蜀魂」があります。
<古代中国にと蜀(秦以前・古蜀)というさびれた国
がありました。そこに杜宇という者が現れて、農耕を
活性化し、国の再興を果たし王となりました。
その後、杜宇は国王を譲り隠棲します。
杜宇は死ぬとホトトギスに化身(蜀魂)して、農耕の
時期になるとこの地にやってきて、その時を告げてい
ました。(田鵑)
蜀は秦に滅ぼされます。
そして例年通りやって来たホトトギスは
「不如帰去(かえりたい)」といって泣いたと
いいます。>
「鳴いて血を吐く不如帰」という言葉がありますが、
それは不如帰の口の中は真っ赤であるところからで
すが、この逸話も絡んでいるようですね。
他に、時鳥(夏を告げる)・田鵑(田植えを告げる)
子規(語源不詳)・たま迎え鳥(死出の山から死者を迎えに来る)
などがあります。
不如帰はカッコウ目で、鶯などに托卵します。
※「托卵」は自分の卵をほかの鳥に育てさせる習性で
昆虫や魚にもこのこの習性を持つものがあるそうです。
鳴き声が「テッペンカケタカ」ときこえるそうです。
和訓の「ホトトギス」の語源は鳴き声「ホトホト」に鳥を
表す「ス」を付したものだそうです。
藤ーフジ
字の成り立ちは「艸=くさ」に「滕=水が上にわきあがる」
で、つるが他の木に絡みついてよじ登っていく植物。
※滕の月は「舟月(ふなづき)」であります。
人の上に上がる(かつ・まさる・しのぐ・のが「勝」。
高く上がるのが「騰」。
和訓の「ふじ」の語源は「吹き散る」、風が吹くたびに花が
ちるというところから。
藤はまマメ科の植物で、蔓の繊維は丈夫で、
椅子(籐椅子)、籠につかわれたり、繊維を取り出し布
(藤布)や紐も作られ作られました。
この布は粗末で、庶民が仕事着として用いたものであり、
また平安貴族の喪服にもなっていました。
5月 杜若に八橋
杜若の名所・無量寺の庭園(愛知)にちなんだもの。
在原野業平がこの菖蒲をみて次の折句を詠んでいます。
からごろも きつつなれにし つましあれば
はるばるきぬる たひおしぞおもふ
「いずれが菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」
菖蒲は漢語て「ショウブ」と読みますが、古来日本では
この花を「あやめ・あやめぐさ」と呼んでいました。
古代中国では、この花の葉が刀に似ていて邪気を払う
とされていて、男子にとって縁起の良いものとされてい
ました。
菖蒲は尚武に通じるとして、5月5日の端午の節句の
花とされるようになりました。
※「尚武」は武事・軍事を尊ぶことです。
菖蒲と杜若はよく似ていますが、見分け方は菖蒲は
乾いている土地に生え、杜若は湿地に生えています。
葉の幅は菖蒲の方が細く、杜若の方が広い。
花弁の付け根は菖蒲は網目模様で、杜若は白い一筋
の線となっています。
(「どっちがどっち」と迷うようなものは、片方を覚えてお
けば迷うことはないですね。)
八橋(ヤツハシ)は湿地に敷かれたシグザグの
橋渡しで、名は地名によったものであります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
