ことばの物語
≪花暦Ⅱー3月~4月≫
三月 弥生 桃
「桃」は別称 仙木、仙果ともいわれ古くから邪気払い
(桃は陽で陰を祓う)、不老長寿を与えてくれる果物と
されています。
・桃の木で作った弓矢は鬼除け(鬼門に桃の木を植え
る風習があります。)
・桃ノ木を畑に挿して、虫除けのおまじないとする。
・桃ノ木を削った板に文字を書いて戸口の両脇に掲げ
る春聯は、鬼神除けであります。(今は赤い紙に書
かれます。)
・3月3日の桃の節句は、崑崙山の西王母の誕生日で
この時、そ三千年に一度実をつけるという蟠桃園の
不老長寿の桃を食べるといわれています。これに
あやかり西王母に女の子の健やかな成長を願います。
・寿桃は桃万頭のことで、この西王母の桃にあやかった
もので、長寿の願いが込められています。
日本でも『古事記』のなかに、伊弉諾尊(イザナギノミコト)が、
黄泉の国から逃げかえるとき、黄泉比良坂で桃の実を
投げつけて黄泉の国の追手たちを追い払ったとあり
ます。
桃ーもも・トウ
字の成り立ちは「木+兆(ふたつにわかれる)」で、
その実が二つに分かれるもも。
二つに分かれることはめでたい兆をし意味します。
和訓の「もも」の語源は「真実=まみ」の音転と言う説
と多くの実をつけるところから「百=もも」との説があり
ました。
英語のPeachはラテン語の「ペルシヤの林檎」という
意味からだそうです。
三月の異称〖弥生〗は、「ますます・いやさか(弥栄)」
の意味で、草木の芽がますます生まれ出てくることを
示したものだそうです。
(江戸の花暦では「さくら」)
四月 卯月 桜
花は桜木 人は武士
なんていいますが、共に散り際の潔さがめでられたん
ですね。
「桜の木の下には死体がうまっている。」!
梶井基次郎の小説「桜の木の下には」の冒頭ですね。
事実、大昔には桜の木の近くは死体捨て場であり、
土葬の歴史があります。
春の短い間だけ花を咲かせる桜に、人の命のはかな
さが重なりあったんでしょうね。
民俗学者の柳田国男先生によると、桜の名のつく地名
のところは、死体の捨て場であったと。
(私が若いころ住んでいた桜木町には、大きな市営の
霊園があり、その中にとても長い桜並木がありました)
桜の木には、春に霊が宿り花を咲かせるといわれて
いました。
桜ーさくら・オウ
元字は「櫻」。
字の成り立ちは「木+嬰(貝を連ねた女性の首飾り)」
で花が木を取り巻いて咲く木。
桜はバラ科の落葉低木で、春、葉に先立って白色の
五弁花を開きます。
和訓の「さくら」の語源には二説ありました。
①木花咲弥姫命(このはなさくやひめのみこと)の「さくや」から。
咲弥姫命は富士山の浅間神社の主祭神で、この神
が富士の上空から種を蒔いて、全国に広まったと。
②田んぼの神様からきているという説。
古語で「サ」は「稲の聖霊」で、「クラ」は「御座=ミクラ」
のことで、「田の神が宿る所」という意味から。
四月の異称〖卯月〗は「卯の花が咲くころ」。または
「植月」からであります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
