ことばの物語
≪くまー熊≫
♪あしがらやまの きんたろう
くまにまたがり おうまのけいこ・・・♪
足柄山の金太郎は、山姥が赤竜と交わる夢を見て
身籠った子とされます。小さいころから怪力で知られ
ていました。
足柄山を訪れた源頼光に見いだされ、家臣となった
四天王の一人、坂田金時のことであります。
五月人形でよく知られますね。
〖熊〗
熊はネコ目クマ科。
これそのものの漢字が「熊猫」。これパンダのこと。
「熊」は「ツキノワグマ」のことで、「羆」は「ヒグマ」で
ありました。これが全般のクマを表すようになったも
のが「熊」であります。
本来は「能」が「クマ」のことで、クマの姿を描いた物
らしいですが、明らかではありませんと。
この「能」が粘り強い(能力)という意味で使われるよう
になり、「灬=か・火」を下に付して「熊」という字が作
られたと。「灬」を付したのは「火のように勢いがあり、
強い力をもつ動物」という意を表したものであります。
和訓の「くま」の語源は「隈=くま」からで、奥まったと
ころに棲む獣という意味から。
【熊になったお話】
≪中国神話の鯀(コン)≫
鯀は夏王朝の創建者「禹(ウ)」の父親で、尭帝に
黄河の治水を命じられますが、九年経っても成功せ
ず処刑されます。その際、黄熊になって淵に入ったと
言われます。
古代においては、帝の命に背く(失敗も背くこと)と死
罪に処せられました。
これには別の解釈があって、自分の能力を他者に誇
り、無能でありながらも治水を長年続けた過信と虚栄
を罰せられたのだと。
≪ギリシア神話のカリスト≫
カリストはアルカディアのニンフの一人で、処女神
アルテミスのお供でありました。お供のニンフは処女
であることが義務付けられていました。
カリストに目を付けた主神ゼウスはアルテミスに変装
して、彼女と通じます。そして妊娠しているのが発覚し
て、アルテミスはカリストを追放。
そしてカリストは息子アルカスを生みますが、嫉妬した
ゼウスの妻のヘラ神に熊に変えられてしまいます。
成長した息子のアルカスは、この熊に出会い、実の
母親とは知らず仕留めようとします。これを憐れんだ
ゼウスは二人を天に上げました。これが大熊座と
小熊座であります。
熊は日本に棲む野獣の頂点にあり、その力は脅威的
で、古来から恐れられるとともに尊崇されていた聖獣
であります。
特にアイヌではキムンカムイ(山の神)として敬れてい
ます。アイヌの熊祭りは、熊の魂を神々の世界に送り
返す祭りだそうです。
熊野三山、熊野古道で知られている和歌山県の
熊野の地名由来には、多くの語源説がありました。
〇神武天皇がこの地で大熊に出会ったところから。
(古事記)
〇隈(くま)にてこもる義で、死霊がこもる場所。
〇「クマ」とは田の神への供物のこと。(折口信夫)
〇「クマ」とは「神代=クマシロ」で、神の住む地。
などがありました。
「熊掌(ゆうしょう)」は熊の掌で、中国で八珍の一つと
され、とてもおいしいそうです。
また、熊の胆嚢を乾燥させた「熊の胆(くまのい)」は、
胃腸なと消化器系全般に効くという生薬であります。
胃腸が弱い私は、子供の頃よく富山の薬箱の中にあ
る「熊の胆」を飲まされました。とても苦くて、先に水を
含んで舌に触れないようにして飲んでいました。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
