ことばの物語
〖狼Ⅱ〗
モンゴルの伝説に「蒼き狼」の話があります。
<天上より命ありて生まれたる蒼き狼(ボルテ・チノ)
ありき。その妻たる白き牝鹿(コアイ・マラル)ありき。
大海より渡りきて・・・・。>
この間に生まれたのが子が、モンゴル部族の始祖
であると。(他に2~3の伝承がありました。)
井上靖の小説の題にもなっています。
狼は牧畜民族にとっては家畜を襲う害獣として恐れ
られ、農耕民族にとっては農作物へ被害を与える
害獣を駆除する益獣とされ、恐れると同時に有難い
獣とされます。また、狩猟民族にとっては神とされるこ
ともありました。
今は絶滅していますが、日本にも「ニホンオオカミ」と
いうオオカミの種が生息していました。
日本では山岳信仰と結びつき、山の神の使いとされ、
恐れられるとともに尊崇されていました。
和訓の「オオカミ」の語源は「大神=オオカミ」からだ
そうです。
民間伝承で、「送り狼」というのがあります。
<山中で人に接してくる狼をこう呼びます。これには
二種類あって、一つは人に付き添って他の群れから
守ってくるもので、もう一つは人のすきを窺って襲う
ものであります。
「送り狼」に出会ったら、振り向いたり転んだりすると
襲われるそうですよ。>
「狼信仰」の発端とされる話が「日本書紀」にあると。
<日本武尊が三峯(埼玉県の秩父)を訪れました。
その時、道に迷い白い狼助けられました。これに
感謝して、イザナギ、イザナミの二柱を祀り、狼を
神の使いとして定めました。>
江戸時代にコレラが大流行し、その被害が三十万人
にも及んだといいます。
これは、憑き物の「管狐(くだぎつね)」の仕業との噂が
広まり、天敵の狼が効果があるとして、狼信仰が
再燃焼したとの話が伝わっています。
この時、憑き物落としとして狼の頭蓋骨などが使
われたといいます。
〖諸外国の狼伝承〗
・中世ヨーロッパでは、死や恐怖の対象とされます。
・北欧神話では、巨大な狼フェンリルは神々の敵と
されます。
・キリスト教では、邪悪な害獣で、七つの大罪の一つ
「憤怒」の象徴であります。
・インドでは、狼が人間の子供を育てた話があります。
・古代ローマの建国神話で、建国者のロムレスと
レムスは雌狼に育てられました。
※ローマの名前はこのロムレスからだそうです。
・エジプト神話では、狼の姿をした軍神ウプウアウト
(道の開拓者の意)がいて、戦争や冥府の道案内
をするという。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
