ことばの物語
≪あんざんしー案山子Ⅱ≫
〖案山子〗
和訓で「かかし」とよみます。
鳥獣から田畑を守る人形ですね。
日常、慣用的に「見掛けだおしの役に立たない人」
としても用いられます。
「かかし」の語源は「嗅(か)がし」からで、古くは鳥獣
が嫌がるように、その肉を焼いて竹に挿して立てたも
のでありました。
漢字源は「案山=低い山」+「子=人・人形」で、田を
守人形という事だそうです。
※「案」は食器などを置く平らな台のことで、案山は山
の中で平らになったところを意味します。
民間信仰(農耕民)で田植えに際して、早乙女たちが
横一列に並んで一斉に早苗を植える祭は、山の神を
田の神として招き入れる神事でありました。この時の
依り代とされたものが案山子でもあります。
※早乙女ー若い田植えの働き女秋になり、収穫が終了
すると、役目の済んだ案山子を家に持ち帰り、庭先で
供物をささげて山にお帰りいただく「カカシ上げ・カカシ祭」が
行われていたと。
別説として『古事記』にクエビコ(久延毘古)という神
が案山子と呼ばれたとあるそうです。
この神は足が不自由で、動くことはできなかったので
すが全知の神とされ、すべてのことに精通していたと。
案山子が一本足であることの所以でもあるようです。
案ーつくえ・アン
字の成り立ちは「安=安定する」に「木」で、安定した机
の意味。
【字義】
①つくえ。特に食器を置く台をいいます。(足のある膳)
②考える。→思案
③おさえる。なでる。さする。=按→按摩
④やすんずる。
⑤書類・公文書。
日本では、
計画。下書き、草稿。
山ーやま・サン
字は「山の象形」。
〖山の象徴〗
「山」は精霊、神々、悪魔などの異界のモノたちの
住む処とされ、畏敬されるとともに祖霊の居処と
も見られていました。
これは、古くは死骸は山に葬られ、その霊がさま
よっていると考えられたようです。
山は天と地、他国との境界でもあり、天と地を結ぶ
軸、宇宙そのものと信じられていました。
山の持つ偉大さ、崇高さ、神秘さなどから生まれた
のが山岳信仰であります。
ギリシア神話では、十二神がオリンポス山に住み、
エジプトでは死者の国とされています。
中国では五行説に基づいて、方位神の住む山と
とて、泰山(たいざん)・霍山(かくざん)・崋山・恒山
(こうざん)嵩山(すうざん)の五岳信仰があり、
道教においては、神聖な山として崑崙山(こんろん)
があり、仙人が住むという三神山(蓬莱ーほうらい・
方丈ーほうじょう・瀛州ーえいしゅう)があるといわれ
ていました。
<日本の山岳信仰>
特徴は仏教と融合したものであること。特に空海の
真言密教との関りが大きそうであります。
日本には古来から、山は神霊が住む霊地として崇め
る信仰がありました。狩師たちには、山の神は女神
とされ、獲物を授けてくれるものとして、農民には田畑
の守り神として祭祀がなされ、これが神道に引き継が
れ、神の居処として小高い丘に祠(ほこら)が作られる
ようになりました。
奈良時代に入り、山岳信仰は仏教の影響を受けて、
山は験力を得るための僧の修行の場となり、
役小角(えんのおずぬ)が修験道を開山します。
彼らは修験者、山伏と呼ばれるようになります。
※修験道は山岳修行で山の神と語らって得られる一種
の神通力(権力ーげんりき)と悟りをえて、衆生を救済
しようとする実践仏教だそうです。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社) 字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版
