ことばの物語
≪こしおれー腰折れ歌≫
〖腰折れ〗
腰折れの意味は、
1.おいて腰が曲がること。腰の折れた老人。
2.景気や経済が成長、回復、現状維持の状態から
はっきりとした悪化の局面に転じること。
〖腰折れ歌〗というと「腰折れ」とはまったく別の
ことで、和歌の世界の言葉で下手な短歌をさし、これ
から自分の作品を謙遜して言うときに用いられます。
長歌に付される返歌は主に五・七・五・七・七の句か
らなる短歌が主であります。
この短歌の第三句を「腰句」といい、次の第四句との
間が続かない句を「腰折れ」といいました。
腰ーこし・ヨウ
「こし」の原字は「要」でありました。この「要」が
「いる・もしめる・かなめ」などに使われるようになり、
原義を明らかにするために「月=肉づき」を付したの
が「腰」であります。
「要」は古くは「臼=両手」に「呂=せぼね」に「女」で、
左右の手で体を締め付けて細くするさまで、女性の
身体に顕著であるところから女を付したもの。
和訓の「かなめ」は、扇の根本の骨をまとめる為の
金具をさします。その金具の頭が蟹の目に似ている
ところから「蟹目」と呼ばれ、音転したものであります。
これから、物事を支える最も重要な事柄や人物をさし
ます。
まさしく体の要は「腰」でありますね。
折ーおる・セツ
字の成り立ちは「扌=屮を縦に重ねたもので、ばら
ばらになった草木」に「斤=おの」で、斧で草木をばら
ばらにくじくの意味。
【折を音符に含む字】
哲ーあきらか・さとい・テツ
字の成り立ちは「折=複雑な物や事柄をばらばらに分
離する」に「口=こみとば」で、道理を明らかにするの
意味を表す。
誓ーちかう・セイ
「折=明らかにする」に「言」で、神や人の前で明らかに
したことば、約束の意味。
逝ーゆく・セイ
「辵=いく」に「折=ばらばらに離れる」で、目の前から
離れていくの意味。
逝去(せいきょ)
死ぬ。亡くなる。
〖折角〗ーせっかく
折角には二つの意味があります。
1.高慢な人をやり込めること。
<故事>
中国の漢の時代。
朱雲という者は易学者として権威のある五鹿(ごろく)
と易を論じ、遣り込めた。そこで人々は「五鹿」の「鹿」
をもじって「朱雲が鹿の角折った」と言ったという。
2.意味のないことをわざわざする。
<故事>
後漢の郭太(かくたい)という者が外出中雨に会い、
頭巾の角が折れてくぼんでしまったところ、彼を尊敬
する人々が、これをまねてわざと頭巾の角を折って被
ったという。
和語の「せっかく」は「わざわさ〇〇する。」という意味
ですね。(そのことだけの為に、特に行うさま。)
漢字表記は「態態」とかくそうです。
〖折檻〗ーせっかん
「檻を折る」。
本来は「君主を強く諫めること」であったものですが、
厳しく意見して責めることとして使われます。
<故事>
漢は漢の時代、成帝がある目をかけていた臣下がい
ました。忠臣の朱雲が、その男は悪臣だから切り捨て
るよう帝を諫めたところ、帝は逆に朱雲を外に連れ出
すよう命じた。
朱雲は御殿の欄干につかまり、なおその諫めをやめず
続けたところ、手すりの木が折れてしまったと。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社) 字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版
