ことばの物語
≪いんどうー引導≫
〖引導を渡す〗
「引導」そのものの意味は漢語で「みちびく・案内する
・手引き」等の意味ですが、「引導を渡す」というと
「最後の決意を宣告して諦めさせる」ことに転じた
のは仏教からであります。
仏教で「引導」というと「誘引開導=人々を教え導い
て仏教の道に引き入れる」ことでありました。これが
葬儀において、死者が迷わないよう法語を唱える
ことを引導というようになりました。
それは、中国の唐時代の黄檗希運がなくなった母
の為に、法語を唱えたことに始まるといわれます。
また、お釈迦様が尼僧第一号の者の為に「一切は
無常なり。生ずれば必ず尽きることあり。生じそざ
れば死せじ。この滅を最楽となす。」ということを唱
えたといいます。
(参:仏教語源散策/中村元編著ー角川ソフィア文庫)
導ーみちびく・ドウ
字の成り立ちは「首」に「辵=辶=行く」に「寸=手の形」
で、異族の首をもって祓い清めながら進むことを表し
ています。そこにできるのが「道」でありますと。
(補)
古代において、諸部族は城郭で囲まれていて、部族
間には道がありませんでした。そこにはどのような邪
霊がいるか、恐れられていました。そこで、他の部族
の所へ向うには、異族の首の呪力を除霊として手に
持って、祓い清めながら進んだといわれます。
導引(どういん)
漢語のそのものの意味は「道案内」ですが、良く知ら
れるのは道教の用語としてであります。
これは、道教の神仙思想で仙人になるため(不老長
寿)には、心身ともに鍛錬が必要で、その身体を鍛錬
する方法であります。
大気を体内に引き入れて、血流をよくする一種の
体操であります。
具体的にどうするか。
<呼吸によって古い気を吐き新しい気を入れながら
熊のように歩き、鳥のように体を伸ばし、アヒルの
ように浴び、猿のように足早であるき、フクロウの
のように見つめ、虎のように振り向く>ということ
だそうですよ。
導師(どうし)
・仏の教えを説いて、信仰に導くもの。
・葬儀の時、死者に引導を渡す主僧。
・法会のとき、中心となる僧。
引ーひく・ひける・イン
字の成り立ちは「弓+|」で、張り伸ばした弓を示し、
ひくの意味を示す。
引咎(いんきゅう)=引責
責任を負う。
引決(いんけつ)
責任を負って自殺すること。
引拠(いんきょ)
引いてよりどころとすること。
引用(いんよう)
・人を上の位に引き入れて用いる。
・証拠、資料として、他人の文章や事例を自分の文章
話の中に使うこと。
誤字脱字ご容赦ください。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社) 字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版