ことばの物語
≪おおいー多≫
多多益弁ず(たたますますべんず)
多ければ多いほどうまく処理できるということ。
【故事】
中国の漢王朝を創建した高祖劉邦が臣下の韓信
に問う。「私はどれほどの兵数の軍の将となれる
か」と。韓信応えていう「十万の兵の将くらいでしょ
う」と。「では、お前はどうか」と劉邦。応えていう「多
多益弁ず」
と。「では何故私の下にいるのか」「私は兵の上に
立つことはできますが、陛下は将の上に立つこと
ができます」と。うまく逃れましたね。
劉邦は韓信の力を恐れていました。何かと探りを
入れたり、中央政権から遠ざけたりして力を取り
上げ、最終的には殺してしまいます。
平時において、権利を守るためには二番手に優
秀なものを置くなの鉄則ですね。
韓信は劉邦の覇行を決定づけた武将であります。
若い頃は無頼の徒でありました。このころの話が
「韓信の股くぐり」であります。志の為に一時の恥
を忍び、因縁をつけた相手の股をくくります。ある
時は、老婆が憐れんで食べ物をくれます。韓信が
「いつか必ずお礼をします」というと老婆は「かわ
いそうだから上げたまでだ。できもしないことを言
うじゃない」なんてことを言われたりもしました。
最後を予感した韓信は范蠡の言葉を引いて「狡
兎死して良狗煮られ高鳥尽きて良弓蔵され、敵
国敗れて謀臣滅ぶ。天下が定まったからには、
私も煮られるか」と。
多の字の成り立ちは「タ+タ」で、タは肉の象形。
肉の重なりから、量が多いの意味。
なにわともあれ食べ物が先。飯を食わねば戦は
できぬであり、兵糧攻めは有効な戦術でありま
すね。
字義の一つに「ありがたいと思う」があり、これが
本音でありますね。
多感(たかん)
感じることが多い。感受性が強い。
多情多恨
感受性が強いと、恨んだり悔んだり悲しんだりす
ることも多いと。
一時、鈍感力ということが流行りましたが、必要な
ことでありますが、鈍感といっても過敏になるなっ
てことで、無視しろということでないと思うのですが。
多愁善感(たしゅうぜんかん)
「善」はすぐにそうなりやすいという意味で、常に憂
い感傷に浸っているとことで、人間の感情の脆い
様子。
心が沈んでいると、青空でさえ哀しく見えるもので
ありますね。
多蔵厚亡(たぞうこうぼう)
厚亡は損失が大きいことで、欲が深いと人間関係
がだめになって、やがては財物ばかりか全てを失
ってしまうということ。
欲のつっぱり合いはよくありませんね。
しょせんは、
起きて半畳寝て一畳、一日食べても二合半。
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
ことばの事典(講談社/日置昌一・日置英剛)
