ことばの物語
≪あらうー洗・濯・沐≫
東京の大田区南千束に洗足池というのがあります
が、もとの名は千束池で、千束の稲が免税されたと
ころからでありますと。これが「洗足池」と表記される
ようになったのは、身延山から常陸へ向かう途中で、
日蓮さんがここで休息し足を洗ったところからであり
ます。
ここには勝海舟夫妻の墓があります。
洗の字の成り立ちは「水」に「先=足のさきを示す」
で、指と指の間のような細い隙間に水を通すこと、
あらうの意味。跣(はだし)の原字。
洗足(せんぞく)
足を洗う。転じで、俗界を超脱すること。
日本では悪事や好ましくないことを辞めて、まとも
な世界に生きることをいいます。また、単に今まで
の職業を辞めで別の世界で生きることをていいます。
洗耳(せんじ)
こちらは耳を洗うことですが、行いが清廉で潔いこ
との喩であります。
これには故事があります。
<伝説の帝尭が許由に天下を譲ろうといったとこ
ろ、汚れたことを聞いたと川で耳を洗ったという。
これには続きがあって、そのことを聞いた単父む
というものは、そんな汚いところで牛に水を飲ま
せるわけにはいかないと、連れていた牛を上流に
つれていき、そこで水をのませたという。>
⇒許由単父
濯ーあらう・すすぐ・タク
字の成り立ちは「水」に「翟=おどり上がる」で、水
中から衣類を上げるようにしてあらうの意味。
濯纓濯足(たくえいたくそく)
時勢に応じて自分の身の振り方をかえること。
纓は冠のひものこと。
孤高の屈原に猟師は言います。
「滄浪の水清まば以て吾が纓を濯うべし。滄浪の水
濁らば以て足を濯うべし」というではないですかと。
浣ーあらう・すすぐ・カン・ガン
字の成り立ちは「水」に「完=めぐらす」で、水をめぐ
らすようにして注ぎあらうの意味。
この字は「浣腸=かんちょう」で知るのみですが、間
違いなく腸を洗うことでありますね。
沐ーあらう・ボク・モク
字の成り立ちは「水」に「木=尨(ボク)に通じ、むく
犬のように髪が乱れるの意味」で、水で髪をあら
う。通じ今一つ納得しがたいので、もう一つの字書
を調べてみました。
「水」に「木=葉をかぶった木で、上からすっぽ
りとかぶる意」で、水を頭からかぶること。
沐浴(もくよく)
髪をあらい、体をあらうこと。
沐恩(もくおん)
恩を受ける。恵みを受ける。
沐雨櫛風(もくうし通じぷう)
風雨にさらされて苦労すること。
沐猴猴而冠(もっこうにしてかんす)
サルがかんむりをつけている。項羽ら楚人を罵っ
た言葉で、野な人がうわべだけを飾ることのたとえ。
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
