ことばの物語
≪かたいー堅・硬・固・難≫
【字の成り立ち】
堅
「土」に「臤=かたい」で、かたい土の意味から、かた
いの意味。
「脆い=もろい」の対。中まで詰まっていて形が変わ
らない様子。
硬
「石」に「更かたくてつよい」で、「更=あらためる」とし
て用いられるようになったところから「石」を付したもの。
「軟らか」の対。力を加えても形が変わらないもの。
表面のかたさなどですね。
固
「口=城壁のかこい」に「古=かたい」で、城郭のかた
い守りから、堅いの意味。
「ゆるい」の対。全体が強く形のかわらない。
この三つの「かたい」の使い分けは、対する語から判
断するといいですね。
難
「禍に遭って祈る巫女の象形」に「隹-とり」で、禍に
出くわして鳥を供えて祈るさまから、かたい、わざわい
の意味。
「易しい」の対。
物事を行うのがむずかしい。
<堅>
堅甲利兵(けんこうりへい)
非常に強い兵力のこと。
利兵の「兵」は、武器のこと。利兵は鋭い武器。
堅塞古塁(けんさいこるい)
非常に守りの堅いとりで。
「塞」は、とりで。もとは「ふさぐ」の意味。
「塁」は、土を重ねたとりで。もとは「重ねる」の意味。
堅白同異(けんぱくどうい)
こじつけや、詭弁のたとえ。
中国の故事からで、その詭弁の内容は以下の通り。
「堅くて白い石を目で見ると白いことはわかるが、堅
さはわからない。
手で触れると堅さはわかるが、色はわからない。よっ
て、堅くて白い石は同時には成り立たない。」
<硬>
硬骨(こうこつ)
硬い骨から転じて、意志が強くてたやすく屈しないこと。
硬骨漢の「漢」は男のこと。
硬水(こうすい)
カルシュウム塩、マグネシュウム塩を比較的多く含む
天然水で、石鹸が溶けにくく、洗濯に不適であります
と。⇔軟水
硬派(こうは)
強い意志、主張を持つ一派。次の解説が面白いです。
好んで正義を主張し、時に暴力を振るう一派とあり
ます。
<固>
固陋頑迷(ころうがんめい)=頑迷固陋
頑固で視野が狭く、自分の考えに固執して正しい
判断ができない。
「固陋」は、かたくなで見識が狭い。
「頑迷」は、かたくなで道理に暗いこと。
この二つからすると、見識が狭いと、道理に暗くな
るということですね。
<難>
艱難汝を玉にする
西洋の諺「逆境は人を賢明にする」の意訳。
人は困難や苦労を乗り越えると、あたかも地中か
ら掘り出した粗玉が美しい玉に磨けあげられるよ
うに、立派な人間に成長すると。
艱難にあって初めて真の友を知る。
これも西洋のキケロの「友情論」からであります。
「必要な時の友こそ真の友」なんてこともいいますね。
2017.12掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂