こんにちは、絶學無憂です。

 

こないだもご紹介した、鴻上尚史さんの人生相談の記事は、友人から絶交されたという28歳の女性への返事として、「相手から頼まれない限りは、こちらから人生相談の話を決してしないように」という内容で、鴻上さんはそこに、親切心という顔の裏に「無意識の優越感」が潜んでいるのだ、と指摘していました。

 

「友人に絶交されました…」 鴻上尚史が指摘する原因“無意識の優越感”とは

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

https://dot.asahi.com/dot/2019040500077.html?page=1

 

先日の記事では、この「無意識の優越感」とは、すなわち、相手との間に極性を作ってしまっているですよ、という観点から解説を試みました。

 

今回は、さらにもう一歩踏み込んで、実はこれ以外にもう一つ重大な極性を作ってしまっているから、絶交という結果を招いたりしてしまうのだ、ということを述べてみたいと思います。

 

相手との間に極性を作っているのも確かであり、それが「無意識の優越感」として相手に察知されて、そのために人間関係がぎくしゃくするのですが、この相手との間の極性というのは、おそらく二次的なものです。

 

実は、それに先立って、深刻な極性を作ってしまっているから、そもそもこのような人間関係に至るんです。

 

これは一体何のことか、お察しでしょうか?

 

他人との関係の前に?ということは、そう、自分自身との関係です。

 

私も20年近くに渡ってこの手の失敗を繰り返してきましたのでよく分かるのですが、目の前に「あちゃあ」という感じの困った人が現れた時、頼まれてもいないのに放っておけない、なんやかんやアドバイスをしてしまう、という時、多くの場合は、その困った人が、以前のダサい自分の姿を表現しています。おそらく、この相談依頼者の28歳女性も、同じような感覚をその友人相手に抱いていたんではないかと思います。

 

以前のダサい私はグズグズのダメダメだったが、そこで〇〇をして、このようにしたからこそ、そこから脱出して、今のイケている私があるのですよん、フフン

 

と、こういう意識を抱いているときに、よくよく注意してみると、「現在のイケている私」対「過去のダサい私」、という対立図式、すなわち二元性の極性の分離が起きています。言い換えれば、「私はもう過去のダサい私とは違うのだ」と思うときに、その過去のダサい自分を否定してしまうため、その当時の自分の持っていたエネルギーが分離してしまい、アクセス不能になってしまっています。

 

いわば、この失われた過去のもつエネルギーを再統合するためのきっかけとして、過去のダサい自分のエッセンスをふんだんに表現してくれる友人や同僚が出現したりするわけです。

 

私にも経験がありますが、「あー自分はこの経験で確実にステップアップしたな、こういう自分のだめなところをついに乗り越えたな」 と思った後に、そのだめな当時の自分に似たところのある人物が登場し、私の心を掻き乱してくれます。その人のやることなすことを見聞きするたびに、

 

「あーあー、そんなんしてたら全然だめ。こういう風にしなきゃ。なんで分からないんだろうなあ、バカじゃないだろうか」

 

と思い、千千(ちぢ)に心が乱れます。このときに、他人の行為によって、自分が実際に動揺させられるように感じるため、「親切心」という看板のもとに、介入、そして指導を試みるわけですが、もともと自分の中にある極性の分離が投影されているに過ぎないので、この人間関係も「無意識の優越感」のもとに、極性が形成されてしまい、どんなアドバイスもからっきしうまく機能しません。

 

では、どうすればいいのか?

 

過去のダサい自分との「再統合」(うわー、あんな恥ずかしい自分と合体するのは、超恥ずかしい、という気持ちとの勝負)が必要なんですよ。

 

これが統合されていると、同じように、あちゃあ、という感じの人がいても、ざわざわしなくなります。平然と、その人がめちゃくちゃをして、感情的に揺れまくっているのを眺めることができるようになります。「物好きだなー」という感覚ね。蓼食う虫も好き好き、ってやつです。この方は趣味で暴れているんだから、本人が飽きるまでは放っておこう、と放置プレイができるようになります。

 

世に成功法則だの、知恵だの、というのはたくさんあって、壁を乗り越えられたり磨るわけですが、乗り越えた後にどうするべきか、という話をしているのは、本田晃一さんや田仲真治さんくらいしか知りません。

 

 

こちらの記事も参考にしてね。

49. ”つい見下したり、バカにしたくなる人がいたら、”

 

https://ameblo.jp/6-mannaka-9/entry-12425169546.html