「真夜中すぎの一時間」 ヘッセ 藤原定訳
真夜中すぎの一時間
人間はみなねむりこくって
めざめているのは森林とやっと出た月。
大きくてまっ白なお城が立っていて
そこにはぼくとぼくのゆめだけがいる。
お城の広間は絵のようにきれいで
ぼくのゆめたちがお客さまで
ぼくのそばにこしかけていて
さかずきがあちこちとしていて、歌やおしゃべり。
明けがたになってやっとしずまる。
朝の太陽はたくましい手でかべをたたき
はいってくるなり ぼくをしかって
手にしたあかりをつきつける。
風であかりがとびちると
ぼくのゆめの国も こなごなになる。
ぼくのまわりから なごやかさがきえ、
きびしい人生が 足音あらくはいりこんでくると、
その力にひきずりまわされ
おずおずと したがってゆかねばならぬ、
――おお夜中よ、ぼくはおまえをまちこがれている

静寂がやってくる
向こうからこちらへやってくる
ここに立っていると
その静けさが近づいてくるから
まだここいいるんだろう
2014.7.15
真夜中すぎの一時間
人間はみなねむりこくって
めざめているのは森林とやっと出た月。
大きくてまっ白なお城が立っていて
そこにはぼくとぼくのゆめだけがいる。
お城の広間は絵のようにきれいで
ぼくのゆめたちがお客さまで
ぼくのそばにこしかけていて
さかずきがあちこちとしていて、歌やおしゃべり。
明けがたになってやっとしずまる。
朝の太陽はたくましい手でかべをたたき
はいってくるなり ぼくをしかって
手にしたあかりをつきつける。
風であかりがとびちると
ぼくのゆめの国も こなごなになる。
ぼくのまわりから なごやかさがきえ、
きびしい人生が 足音あらくはいりこんでくると、
その力にひきずりまわされ
おずおずと したがってゆかねばならぬ、
――おお夜中よ、ぼくはおまえをまちこがれている

静寂がやってくる
向こうからこちらへやってくる
ここに立っていると
その静けさが近づいてくるから
まだここいいるんだろう
2014.7.15








