遺言の撤回及び取消し





遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます。





前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
上の場合、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合についても同様です。





遺言者が故意に、遺言書を破棄したときや遺贈の目的物を破棄したときもその破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます。






撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しません。
ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りでありません。



遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができません。





負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができます。
この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができます。

  


遺言の執行


(遺言書の検認)

遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。
遺言の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、
検認を請求しなければなりません。

上の検認請求については、公正証書による遺言について適用しません。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができません。



上記の場合、家庭裁判所に遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処されます。



(遺言執行者の指定)


遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができます。

遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければなりません。

遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければなりません。



遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければなりません。




未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができません。



遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができます。



遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければなりません。

遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければなりません。



遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。



遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません。



遺言執行者は、被相続人の代理人ではなく、相続人の代理人とみなされます。



遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができません。
ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りではありません。



遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、保存行為を除き、過半数で決定します。

ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従います。



家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができます。
ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りではありません。


遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができます。

遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができます。





遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とします。ただし、これによって遺留分を減ずることができません。



遺言の効力

(遺言の効力の発生時期)

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます。

遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生じます。

 
受遺者(遺贈を受けた者)は、遺言者の死亡後は、遺贈の放棄をいつでもすることができます。

遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生じます。


受遺者(遺贈を受けた者)が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、受遺者の相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができます。
ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うことになります。


遺贈の承認及び放棄は、撤回することができません。


*包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します。


*(包括受遺者とは、遺産の全部または一定割合を受ける受遺者のことで、相続人と同一の権利義務を有します。)


(受遺者の死亡による遺贈の失効)

遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じじません。



遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、遺贈者の相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従います。


遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、原則としてその効力を生じません。


(負担付遺贈)

*負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負います。

*(負担付遺贈とは遺贈を受けるにあたり、一定の義務を負担させること
です)

受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができます。
ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うことになります。