リサ ③
PM 6:00
やっと開放された僕らは一言も話さず警察署の駐車場へ向かった。
近所の人が通報したらしいが、まさか尿検査までされるとは思わなかった。
結果は2人とも陰性だったが、リサの様子があきらかにおかしい。
8時から仕事だと言うので家まで送り、僕は帰った。
この時点で僕はリサの職業どころか本名さえ知らない。
「もうあの人に関わるのはやめておこう」
そんな薄氷のような決意を粉々に砕くように携帯が鳴った。
AM 3:00
僕らは予期せぬ状況で再会することになる。
リサ ②
「情緒が家出しました」
LINE交換をして初めて来たメッセージ。
僕はため息をつきながらも会える理由ができたことが嬉しくてそそくさと車に乗り込む。
営業が終了した銀行の駐車場。
暗い駐車場の隅でリサはシーツを抱えて泣いていた。
「ここ、女のニオイがする」
「それ誰のシーツ?」
「・・・」
ジッポオイルを取り出してシーツに火を点けようとするのを必死に止めていた僕はライトを消して静かに入場してくる車に気づいていなかった。
リサ ①
「ねえ、わたしの頭文字はLとRどっちが似合う?」
「R」
「だよね、ありがと」
友人が使わなくなったソファを譲るために向かった先にリサはいた。
重めのボブに白い肌、切れ長の二重。
その奥にある全てを諦めたような目は僕の心を掴んで離さなかった。
ソファをリサの部屋まで運び、今まで使っていたソファを外に運ぶのを手伝った。
そのソファには刃物で刺したような傷が無数にあった。
頭の中で何かが始まったような音が響く。