僕はもうだめだ -2ページ目

真相をお話しします 2.5

真相をお話しします 3

 

付き合うという選択肢はなかった

密事は毎週から半年、1年と間隔が空いていった

それでも相性が良かった僕らは離れられず

会うたびに空白の時間を含めて楽しんでいた

 

3年ぶりに会った時

ひなのは突然結婚すると告白した

僕らの夜はそこで終わり

その後は一切連絡を取っていなかった

 

 

2023年3月

僕はYouTubeで昔聴いていた洋楽のMVを観ていた

ChumbawambaのTubthumping

曲がサビに入った瞬間、頭の中で小さな火花がほとばしった

 

歳月に洗われた過去の違和感がストンと手元に落ちてくる

 

ひなのと会ったのはあの時が初めてじゃない

 

 

※次回で終わります

 

 

 

 

 

真相をお話しします 完

 

当時の記憶をたぐり寄せる

 

 

・ピザのデリバリー

 

配達員が部屋から漏れてくる曲を聴いて

『これなんていう曲ですか?』

という何気ないやり取りがあった

 

 

・不可解な電話

 

外出中に同棲していた彼女から電話がきた

同窓会参加確認の電話があったので携帯電話の番号を教えたと

しかしその後誰からも電話はかかってこなかった

もちろん同窓会なんてなかった

 

 

・待ち合わせ場所での違和感

 

ひなのは僕の車を知っているように視線で追ってきた

そして車を停めて戻ってきた僕を見つけて迷いなく微笑んだ

 

 

・部屋にあった異物

 

ひなのはV系が好きで大量のCDがあったが、その中にチャンバワンバのCDらしきものがあった

ジャケットの色が鮮やかなグリーンなのでV系CDの中で異彩を放っていた

 

 

・話好きなピザの配達員

 

目深にキャップかぶった小柄な女性

あれは、ひなのだ

 

 

注文データから家の電話番号を抜いたのだろう

同窓会の連絡と言って僕の携帯番号を手に入れたひなのは無作為を装って僕にショートメッセージを送ってきた

 

記憶を巻き戻してみると他にも不自然な点は多々あった

でも騙されたとか嫌な気持ちにはならない

むしろ見事にやられたという爽快感があるくらい

20年以上経ってまた楽しませてくれるなんてね

 

--

 

「あの時もし僕が」

 

『結婚してたら?それでもいったね、当時のわたしなら』

 

ひなのは自嘲気味に笑って席を立った

 

全ての真相は明らかになった

もう会うこともないだろう

 

さようなら