
前回の記事で、Myspaceのユーザー離れを指摘した。
Myspaceの全盛期である2008年12月の7,590万人のユニークユーザー(UU)を記録してから、2011年5月の時点で3,480万UUまで落ち込んでいる。
半分以上のUU減少だ。

Ref: comScore Blog
MySpaceのUU離れは、別にユーザーがSNSに飽きて来た、、、というわけではない。むしろその逆である。
下記のcomScore提供のグラフが示すとおり、毎年ネットユーザーのSNS利用時間比率は上がる一方だ。
2007年では12分に1分の割合でしかSNSを利用していなかったが、現在では6分に1分はネットユーザーはSNSを利用していることになる。

Ref: comScore Blog
理由は簡単だ。
SNSの対応分野がユーザー同士の楽しみから、企業のイチツールとして認識され始めた事や、個人運営のサークルや団体などの運営ツールなど、様々な分野へ対応可能になり、マーケットシェアが拡大したことだろう。
長い間、ソーシャルネットワーキングといわれてきたのは(海外では、、、の話だが・・・)FacebookとMyspaceであり、それら2極のシェア争いを示していた。
だが、2009年中旬にFacebookがMyspaceを破り、その後も追随を許さない伸び率を刻んできた。

Ref: comScore Blog
2011年5月に15,720万人の訪問者を記録し、FacebookはUSで4番目にユーザー数を集めるサイトになった。伸び方も右肩上がりで、4月から320万人のユーザー数を増やしている。
(comScoreのレポートと他社の調査会社のレポートでは少々違った情報になっているが・・・)
ただ、ここで考えなくてはならないのは、Facebookのこの永続的とも言える成長速度の維持は非常に困難になる、、、という事だ。数の法則 (The law of large numbers)でいうと、マーケットの大多数をシェアにすると、残りのパイも必然的に小さくなるため、伸びも緩やかになるのは明白だし、上限も来よう。 そこでFacebookが今後もSNSのキングであり続ける為には、新規ユーザー獲得の為の戦略ではなく、既存ユーザーを如何にして飽きさせずに、サイト 内に留まらせ、利用し続けさせるか、、、という戦術が必要になる。
さすがFacebook!!と言えるのは、既にその様な戦術に移行している点である。過去1年間の調査では、既にユーザーの月間利用時間が4.6時間から6.3時間に延びている点である。つまりは、既存ユーザーを飽きさせない施策が滞りなく行われているといえよう。
Myspaceではその施策が上手く機能していない事が数字からも分かる。Myspaceのユーザー数が激減している、、、とは言っても未だに5月には 3,490万人のユーザー数がおり、SNSではUS#2のポジションにいる。だが、過去1年で50%もユーザー数の減少があり、ユーザー月間利用時間も1 年前と比べると85%まで落ち込んでいる。
他のメジャー・ソーシャルメディアに目を向けてみよう。
5月のcomScoreのデータを見てみると、それぞれのサイトでUUの上昇が見られる。
Linkedin.com: 3,340万UU
Twitter.com: 2,700万UU
Tumblr.com: 1,070万UU

Ref: comScore Blog
5月19日のLinkedinのIPOによるメディアでの露出増加の影響もあってかUU増加になっているが、それ以外にも「ビジネス」に特化した SNSという事で、メディア露出を起爆剤にしてビジネスマンから新たに注目され始めている、とも考えられる。昨年から多少の増減はあるものも、概ね右肩上 がりにUUを伸ばしてきており、1年間で58%の増加を見せている。
まだ正確な情報は出ていないが、Linkedinの月間ユーザー利用時間の推移も今後気になる部分だ。
Twitter.comも5月はUSから2,700万UUを集め好調だった。(去年と比べ13%の増加)
ツイッターの強い部分は、ツイッター利用の多くが外部サイトから行われているところだ。例えばツイッターのAPIやウィジェットの利用等があげられる。
ただ、ツイッターの5月の好調には、Osama Bin Ladenの暗殺やイギリスのウィリアム王子の結婚などによる所が大きいようだ。
まだLinkedinやTwitterにはUUでは敵わないソーシャルブログサイトTumblrは、昨年と比べ驚くことに166%の成長を遂げ、1,070万UUを2011年5月に記録している。
まだまだソーシャルメディアのキングになるには道のりが長いTumblrだが、このまま問題なく成長を続けていければ、将来的にはソーシャルメディア業界のメインプレーヤーになるだろう。
今回はアメリカ国内でのソーシャルメディア業界に焦点を当てて解説をしてきたが、現在世界の最前線を行っているサイトを運営している企業が多いのは アメリカであり、世界的な流れとして自国語や英語だけでなく多言語への対応が必須となってきているソーシャルメディア業界では、アメリカでの結果は、将来 的に世界での動きの前触れ、、、といえなくも無いので、チェックを怠る事はトレンドを把握できなくなることになるであろう。
参考: The Network Effect: Facebook, Linkedin, Twitter & Tumblr Reach New Heights in May