オレの恋人は絵描き。
モノづくりもするけど、基本的にはキャンバスに向き合ってる。
欲望に忠実
時間軸が自分中心
執着と薄情の差が激しい・・・
そして、ルーティンの仕事は嫌がる。
そして、ルーティンの仕事は嫌がる。
思いついた時に、インスピレーションが溢れるままに創作に没頭したいからって、決まった時間に決まった場所で決まったことをするのが苦手。だからアトリエがない。いつでもどこでも手を動かしたいって。作業場に戻らないとできないなんて、そんな暇あったら、そこら辺にあるものでいいって、モノづくりを始めちゃう。
そんなオトコ。
欲しいものを欲しいって言って、
寝たいときに寝て、
必要なものは絶対に手放さず、
それ以外はどーでもいい。
でも、それの何が悪いんだ。
・・・そもそも他人の価値観を気にしてたら、オレたちは、同性の恋人同士になんてなれなかった。
彼と出会ったのは、ちょっとしたトラブルで仕事がまともにできなくなった平日の午後。まあ、トラブルっていうか、WiFiルーターがぶっ壊れて、仕事にならなくなったってことなんだけど。
でも、それの何が悪いんだ。
・・・そもそも他人の価値観を気にしてたら、オレたちは、同性の恋人同士になんてなれなかった。
オレの仕事、ゲーム音楽のクリエイターはギター一本とPCさえあればいつだってどこでだってある程度の仕事はできる。なんなら鼻唄で作曲したっていい。そんな感じだから、オレも自分の都合だけで生活はできる。
彼と出会ったのは、ちょっとしたトラブルで仕事がまともにできなくなった平日の午後。まあ、トラブルっていうか、WiFiルーターがぶっ壊れて、仕事にならなくなったってことなんだけど。
あまり日に当たらない日常だけど、その日は風が気持ちよくて、どうせ家にいても仕事はおろか、ゲームもできない。たまにはブラブラと外に出てみようと思った。
ギターを担いで、スマホだけポケットに入れて自転車に跨る。
ぐんっと漕ぎ出すと気持ちよく風のスピードを感じて、
すこし遠出をしたくなった。
息が上がるのを感じながら坂道を登りきると、
息が上がるのを感じながら坂道を登りきると、
眼下には穏やかな海。
釣り人がぽつぽつといる防波堤がみえている。
そのまま坂を下って海へ。
汗ばんだ首筋を抜ける風が心地いい。
ギターを背負っているから、背中がジットリと熱をもつけど、それも季節を感じるにはいい演出だと感じるくらいには、たまの外出がとても楽しく思えた。
自転車をとめて、そのまま防波堤をのぼる。
久しぶりに来た海。
ひきこもりのオレにはいささか日差しが痛いが、こういう気候の変化に刺激を受けるのもクリエイターとしては必要ってことで、今日は甘んじて受け入れてみる。
肌が焼ける感覚もたまには悪くないかな。
なるべく誰もいないようなスペースへ座って
釣り人がぽつぽつといる防波堤がみえている。
そのまま坂を下って海へ。
汗ばんだ首筋を抜ける風が心地いい。
ギターを背負っているから、背中がジットリと熱をもつけど、それも季節を感じるにはいい演出だと感じるくらいには、たまの外出がとても楽しく思えた。
自転車をとめて、そのまま防波堤をのぼる。
久しぶりに来た海。
ひきこもりのオレにはいささか日差しが痛いが、こういう気候の変化に刺激を受けるのもクリエイターとしては必要ってことで、今日は甘んじて受け入れてみる。
肌が焼ける感覚もたまには悪くないかな。
なるべく誰もいないようなスペースへ座って
指に任せてポロポロとギターを爪弾く。
気持ちいい風とまぶしい水面に思いのほか心が解放されていたようで、気付けば流行りの曲をコードで奏でながら、いつのまにかくちづさんでいた。
~♬︎•*¨*•♪
ふと違和感を覚える。
どこからか聞こえてくる、透き通った声。
オレのギターに合わせた・・・歌?
手を止めたら声のする先が分からなくなりそうで
気持ちいい風とまぶしい水面に思いのほか心が解放されていたようで、気付けば流行りの曲をコードで奏でながら、いつのまにかくちづさんでいた。
~♬︎•*¨*•♪
ふと違和感を覚える。
どこからか聞こえてくる、透き通った声。
オレのギターに合わせた・・・歌?
手を止めたら声のする先が分からなくなりそうで
その音色を手繰るように耳を澄して
ギターをひきながらあたりを見回す。
声の出処は防波堤のもっと先。
消波ブロックの上で振り返った人影があった。
曲が終わり、その人影を見つめていたら・・・
「もう終わりか?おめぇ、いい声だな」
逆光で顔は見えなかったが、そのやさしい話し声に
なぜだがぎゅっと、ココロが跳ねた。
ひょいひょいっと軽やかに消波ブロックを渡って防波堤まで上がってきたその人は、よく焼けた健康的な肌でいかにも「釣りで焼けてます!」って感じの男性。全身は華奢に見えるけど、思いのほかしっかり筋肉のついた脚。
声の出処は防波堤のもっと先。
消波ブロックの上で振り返った人影があった。
曲が終わり、その人影を見つめていたら・・・
「もう終わりか?おめぇ、いい声だな」
逆光で顔は見えなかったが、そのやさしい話し声に
なぜだがぎゅっと、ココロが跳ねた。
ひょいひょいっと軽やかに消波ブロックを渡って防波堤まで上がってきたその人は、よく焼けた健康的な肌でいかにも「釣りで焼けてます!」って感じの男性。全身は華奢に見えるけど、思いのほかしっかり筋肉のついた脚。
そして、近づいてきてわかった表情は
思わず気を許してしまうような、ふにゃっとした笑顔。
なぜか目を逸らせなくて
なぜか目を逸らせなくて
惚けてしまったように見つめてしまった。
「このところずっとこの辺で釣りしてるけど、会ったこと無いな?」
「・・・っあ、えっと、うん、たまたま今日は・・・ちょっと」
「そっか、なぁ、また歌ってくれよ」
「・・・いいけど」
これが、オレと智の出会い。
「このところずっとこの辺で釣りしてるけど、会ったこと無いな?」
「・・・っあ、えっと、うん、たまたま今日は・・・ちょっと」
「そっか、なぁ、また歌ってくれよ」
「・・・いいけど」
これが、オレと智の出会い。