こんにちは
ぼく、栞吏ちゃん
数ヶ月前の事
スマホのキャメラを
ぼくに向けたと思うと
撮ったばかりの写真を凝視しているのは
おーねいちゃん
何やら
拡大したり
ぼくと写真とを見比べたりしている
と次の瞬間
「 うぅ… 」
おーねいちゃんは
泣いている
驚いて
おーねいちゃんにごつんこしながら
隣に死神でも写ってる?
なんて戯けてみせる
おーねいちゃんは
溢れ出る涙を手の甲で押さえながら
小さな声で言うのだ
「栞吏ちゃんが可愛く撮られない」
…
…
可愛いこちゃんと呼ばれているぼくが
ぼくが可愛くない事なんて
そんな事あるの!?
今にも絶叫してしまいそうな喉を抑えて
静かに泣くおーねいちゃんに寄り添う
成る丈
成る丈の可愛いお顔で
おーねいちゃんから聞く話
詰まる所は
買い替えたばかりのスマホのキャメラが
思ったよりも綺麗に撮られない
「栞吏ちゃんの毛並や色味の良さが
全然出ないんじゃもん」
…
そんな事で
大のおーねいちゃんが泣いてるのかと
笑ってしまいそうになるが
おーねいちゃんも“こんな事”と
分かっているから恥ずかしくて
声を殺しているのじゃろう
そっと
おーねいちゃんにもたれ掛かる
ぼくは
スマホを持っていない
調べ物をする
動画を観る
ブログを読んだり書いたりする
使うとしたらこの程度
電話は
おーねいちゃんが話している隣で
一言二言、参加する程度だ
だから
キャリアも機種も特に拘りはなく
おーねいちゃんが選んだものを
仲良く使っている
大体2年に一度
アンドロイドを買い替えている
おーねいちゃん
店員さんには
キャメラの写りが綺麗で
大きめな画面が良いと要望を伝えているそうだ
今回も同じ
幾つかの候補に絞ってもらい
キャメラ機能の他にも
多少は見比べる
おーねいちゃんは
勇み足だった
つい最近の事に
コンビニの駐車場でスマホを落として
画面が割れてしまっていた
口コミを調べるなんて言われても
「なるほど」と頷くだけで
実際には右から左に受け流し
“今日買いたい”結果が
これじゃった
ぼくのアドバイス通り
狸のおねいちゃんに相談するおーねいちゃん
「栞吏ちゃんとの2年は大きい
綺麗な写真に残せなくて後悔しそう」
そう言って落ち込む
おーねいちゃんへ
狸のおねいちゃんは言う
「お金で解決出来る事は
悩んでないで
ちゃっちゃとやりな!」
傍から見ると
普段からどうでも良いことで悩んでいる事が多い
おーねいちゃん
その事をよく知っている
狸のおねいちゃんは
お金は大切だけれど
悩む方が馬鹿らしいと、
「栞吏ちゃんの写真を撮る事が
唯一の趣味みたいなものなのだから」
と背中を押してくれる
何なら
お財布まで出てきそうな勢いだ
買い替え直後に
また買い替える事になり
おーにいちゃんは呆れているだろうか
日頃から冗談交じりに
おーにいちゃんが度々発する台詞
「狸のおねいちゃんは
おーねいちゃんに甘過ぎる」
…
実は
そう思っているのは
おーにいちゃんだけではない
ぼくも知っている
狸のおねいちゃんによる
ゲロ甘エピソードは
またいつかの機会に
…
おーにいちゃんは
お店に再び連れて行ってくれた
買い替えてから
ちょうど一週間
おーねいちゃんは
買い替えたスマホを買い替える
調べた機種情報と口コミを
紙に書き出し比較した
店頭では存分に試させてもらう
お相撲になぞらえるなら
慎重に決め手を実演し
今回は白星をあげられたようだ
別の日の事
おーにいちゃんは
不要になった方のスマホが
少しでも高値で買取してもらえるように
お店をはしごしてくれる
最後はゲオに引き取ってもらい
「〇円で買ってもらえたよ〜イェーイ!」
涙の跡もすっかり消えたおーねいちゃんに
「ウェーイ!」
と返事をする
なーんだ!
いつも「甘過ぎる」なんて言っている割に
おーにいちゃんも
辛くはないようじゃ
それからというもの
おーねいちゃんは
にんまり嬉しそうに
ぼくにキャメラを向けている
一段落した所で交代
スマホを借りる
検索するワードは
【ウォンバット】
最近やたらと
おーねいちゃんとおーにいちゃんの
話題に上る
ウォンバット
目茶苦茶可愛いらしい
ウォンバット
気になって仕方ないそのこを
内緒で
こっそり検索するのだけれど
…
“お客さんのナデナデが足らずにうつ病”
!!
可愛すぎるじゃろ
ウォンバット!
ぼくの次の次の
次くらいにね!









