経路窄処、留一歩与人行、滋味濃的、減三分譲人嗜。
此是渉世一極安楽法。
経路窄き処は、一歩を留めて人の行くに与え、滋味濃やかなるものは、三分を減じて人の嗜むに譲る。
これはこれ、世を渉る一の極楽法なり。
狭い小道では、他人に一歩を譲り、美味しい物は腹七分で満足して三分を他人に分け与えるのが、世の中を楽に楽しく生きて行く秘密の方法である。
つまり、これこそが謙譲の美徳と現世利益なのだ。
言い換えれば、活人は、足ることを知り、足ることを知らしめよ。
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人を押しのけて進むのが合理的。大阪のババア連中の発想。
レジの並び。後から並んだ人が先になると大損した気分。
そんなに有効な時間の使い方をしているとも思えんが。
[参考]
老子 中国の神秘思想の源流 33 処世の考え方
世界の名著 老子 + 『老子 上篇』の書き下し文と解説
p.107 第33章
人を知る者は智なり、自ら知る者は明なり。
足ることを知る者は富めり。
他人を理解する者が智者であり、自己を理解する者は明察な人である。他人に勝つ者には『力』が必要で、自己に勝つには更に強い『力』が必要となる。既に持っているもので満足できる人が富んでいる人であり、自分をはげまして行動する人が志すところを得る。自分が居るべき場所を間違わえない者が長続きする。死ぬときにも(肉体の一部さえ)失っていない者が長寿なのである。
あとがき
『肉体の一部さえ失っていない』
歯や骨か。あるいは臓器の一部。
心を失って死んだら、行くところがない。
あの世は、心だけの世界だから。
古典的な、餓鬼地獄。
欲しくて欲しくて仕方がない状態。
中杉ブログでも戒めていた。