1990年、スズキ70周年記念車として販売されたVX800。
自分にとって三代目は乗り手より長生きすると思っていたが、それも段々怪しくなってきた。
メンテ必須のビンテージバイクでも、自分の手が動かせるうちは何とか延命したい。
そんな最近の忘備録として ;
ウォーターポンプ (2022.01)
ブレーキキャリパーOH・ディスクローター (2023.03)
スズキVX800 Continental+EBC (ameblo.jp)
イグナイタ・点火系 (2023.05)
さて今回は普通のバイクで言えばチェーン+スプロケの部分にあたるファイナルギヤ。
よくシャフトドライブはメンテナンスフリーとされる。
なんてったって、チェーンの清掃やコマへの給脂、テンション調整など不用。
実際、前の2代目VX800(E21)は、ギヤBOXオイル交換だけで10数万㌔超えても尚、摩耗も異常もなかった。
しかながら今の3代目はある時からオイル交換の度に鉄粉が増え続けた。
↓一年半前位は3~5,000㌔走っても、ドレンボルトに付着する鉄粉はこの程度だった
それが、最近では1,500㌔も走ると..
(↑マグネットのせいでスラッジが尖ってみえるが、実際は微細な粉末状の鉄粉)
一度、バックラッシュの調整をしたかったのだが、もう調整シムはメーカー廃版。
ギヤ歯の摩耗粉が更にまた摩耗を進行させるので短いスパンで換えるようにしていたのだが、さすがにカウントダウンか?と心配になる減り方だ。
そこで、ギヤケース一式のドナーを廃車に求めて移植する事にした。
このギヤケースとスウィングアームの間にはロックプレートがある。スズキワールドで注文しようとしたら、これも廃版。なぜかパーツNo.が二つあるので、尋ねたら担当窓口の方は”両方とも使いますが、どちらも、もう在庫なく出ません”の冷たい一言。
仕方ないので、既存のものをキズつけないよう うまく外せばイイワイ、と決心して分解開始を
..したら、アレっ!一枚しか入ってない。
この部分は廻り止めを兼ねたロックプレートになっているのだが、厚さが足りない事で(ロック機能よりスペーサーの意味で)アームとケースの密着やプロペラシャフト受けのスプラインへのストレスが気になったので、シムを作ってみた。
スロットカー工作で手慣れたプロセスだが、さすがに模型とは大きさが違う。
ハンドニブラーを百回以上ストロークさせ、次いで手でヤスって仕上なければならない。
そのうち、疲労による握力低下どころか、手が左右とも何度かつってしまい、しまいには指の皮がむけてしまった..が、何とかできた!
と喜んでるのもつかの間、ドナーのケースはプレートの爪の位置が合わない。まあ1000Kgものトルクで締めるトコなのでと、ケースのスタッドボルトをダブルナット作戦で一旦外して、
リテーナー状の切欠にカワサキのオプション工具を挟みハンマーを使ってガンガン締込み、かつプレートをチョットだけ切り欠いてピッタリにした。
ここで、疑問..。本当に2枚入れる必然があるのだろうか?
と、浜松本社 スズキ二輪ワークスに聞いてみたら、「交換の際は2枚両方のプレートをお買い求めいただき、閉め込んだリテーナーの位置に合わせて”どちらかを”選んで入れて下さい。唯、申し訳ありませんが当社では廃版となっております。」 との事。
何だ、あの営業窓口のヤロー!両方とも使う~なんていい加減紛らわしい事言いやがって、などと恨んでも後の祭り。
まぁ、自身の、口先より手が動く男性的性格?による結果の作業タイムロスと、人の言う事は再確認すべき教訓として、この金色に輝く(何の価値もない)プレートは記念に取っておこう
(゚Д゚;)
スウィングアームのピポッドカバーを外し、その穴から左手でユニバーサルジョイントの位置をクリクリ合わせながら、右手で重いギヤケースを持って穴の中のスプラインをマサグりながら押し込むのは重労働。
何せ手足の筋肉疲労なんか気にする前に、合わせ面に塗った液体パッキンのスリーボンド”1215”が乾いてしまわないかとヒヤヒヤものだったが、数度のトライで入ったからホッとした。
後は関連してバラした各パーツの組立、のはずが、一難去ってまた一難。
ギヤケースサイドのリヤサス取付スタッドボルトのネジ山先端がつぶれている!
きっと、ドナーは転倒事故車だったのだろうか?でもまぁ、頑丈なケースだし内部には問題ない事を祈りながらツブれてる部分をサンダーでカットする事にした。(アーム取付部のスタッドボルト同様、ダブルナットかましてみたのだが外れなかったのだ)
さて、ファイナルギヤボックスにはMOTULの高級オイルをキッチリ入れ、アームの液体パッキン安定に鑑み試走は一日置いてから。
作業結果に不安が無いと言えばウソになるが、良くなることを夢て..楽しみだ。