今週は水曜日が休みだったので
針生検の結果乳がんの告知を受けた翌日に
紹介状を書いてもらった大学病院へ行った。
クリニックで紹介したもらったときに
すぐに予約は取れるのだろうかと尋ねると、
予約なんかしたらずっと先になるから、
8時からの一般の受付で行くように勧められた。
翌日8時数分前に到着すると、
既に7~8人待っている人がいたが、
診察時間が始まる9時近くになると
途端に人があふれたので7~8人は空いていたようだ。
先生ナイス![]()
不思議と気持ちはとても落ち着いていた。
自分でしこりを見つけて薄々乳がんに気づいていたから、
検診やクリニックで結果を出されるたびに
「やっぱり」というか、徐々に覚悟が作られたようだ。
治療が始まるとなると今度は前向きな気持ちが芽生えていた。
総合受付、乳腺科受付を通り、検査着に着替え、
診察室に呼ばれた時には9時半を回っていた。
放送で名前を呼ばれたのでドアを開けて中に入ると、
とても若くマスカラをばっちり付けた女性医師が、
サンドイッチが入ったコンビニの袋を
慌てた様子でパソコンの後ろに押し込んだ。
まったく隠れてないけど。
なんだかなぁ...
医者からしたら大勢の患者の一人だし、
待合室にいる何人もの女性みんな乳がんだったり
何かしらの問題を抱えているだろうけど、
私の病気は私には一大事であることなのに、
この出迎えってないと思う...
前向きになりかけていた気持ちが、一気に落ち込んだ。
おまけに開口一番
「今回は治療目的という事でよろしいですか?」
ん?
どーゆーこと?
「治療以外だと何があるんでしょうか」
「一応聞いただけです」
???
なんだろう…
治療しない人っているんだろうか
セカンドオピニオンかの確認なの?
わからない。
医師の方ではもうこの話は終わったらしく
もう違う話をしているがもやもやする。
ガンであることは承知の大前提で話すから、
サクサクと質問をして次の検査について説明が始まる。
必要な画像が足りないとかで、
また超音波の検査をすることになった。
この1か月で3回目。慣れたものだ。
クリニックからの紹介状に入っていた組織を
(あの痛い針を刺して採取したやつ!)
さらに詳しく検査してどんな治療方法になるか
確定するまでさらに2週間要するという。
検査室に移動し超音波を終えると待合室は急に人が増えていた。
検査着の人、初診の人、看護師と顔見知りの人、
ベレー帽の人が二人いるのは抗がん剤治療中だろうか。
そこから次に診察室に呼ばれるまで40分くらいかかった。
先週クリニックに行くとき持っていくのをやめた文庫を
今日はバッグに入れてきたのは正しい判断だった。
3月に文庫が発売してすぐ購入した新作で、
村上春樹はこんな時にもぴったりだった。
描写がこまかく想像しているとほかのことを考えないし、
登場人物は概ね落ち着いている。
大事件は起きないがミステリアスなストーリー展開は
物語に入り込みやすい。
待合室には明るく暖かい光が入っていて、
読書をするのは明るすぎるかもしれないが、
最近近くが見えにくいからかえって良かった。
ようやく診察室に呼ばれ今後のスケジュールの説明を受ける。
手術は6月の2週目を仮予約したという。
(まだ手術内容も治療方針も決まってないのに!)
そして次の診察は2週間後、その間にMRI 検査が必要と言われた。
乳房温存の手術ができるかの判断をするためという。
MRIを言われたときはガンを告知された時より動揺した。
自分でもわかるくらいに目が泳いだ。
自覚症状なくて検診でガンの疑いを伝えられたら
私もこんな風に焦りを露わにしたのかもしれない。
MRI は全身入るのかと恐る恐る尋ねると
「閉所恐怖症ですか?上半身入ります」と
いとも軽く言ってくれる。
「でも組織検査で温存手術が不可能だったら、
MRIはしなくていいんですよね?」と聞いてみたが
「不安なら落ち着く薬お出しできます」と言われ
上半身と薬で乗り切れるだろうか...と不安ながらも応じた。
閉所と暗所は子どものころから苦手だったが、
ここ数年特に動悸がしたり気分が悪くなるようになった。
きっかけは東日本大震災だった。
自分は被害にあってないが、東京でもたくさんの人が
エレベーターや電車に長時間閉じ込められた。
その年くらいから例えば真夏にエレベーターに乗る時、
映画館で自分の座席から自由に出入りできそうにない時、
前の電車が緊急停止して電車が数分止まった時…
どうしようもなく息苦しくなりその場にいるのが辛くなる。
初めて映画館で症状が出た日は予告の間に劇場を出て、
それ以降出口に近い通路に面した席にしか座っていない。
がん治療にこんな壁があったとは…
気持ちが和らぐ薬とやらの処方箋をもらい、
採血と会計をキョロキョロしながらなんとかこなし、
巨大な病院を後にした時にはもう11時半を過ぎていた。
あと何回ここに通うんだろう。
