昨日の冷たい雨とは打って変わり
朝から抜けるような青空となった。
空気はまだ冷たいが心地よい気温だった。
突然辞めたパートさんから引き継ぐ仕事は一旦おいて、
自分の仕事を終わらせ、翌週の仕事もいくつか終わらせた。
定時に職場を出てクリニックへ向かい、
今日こそ乳がん針生検の結果を聞きに行く。
5時をまわったばかりの電車はとても混んでいたが、
乳腺科クリニックは空いていてすぐに診察室に呼ばれる。
医師は挨拶だけすると薄い検査結果の紙を広げた。
イラスト、英語の短い文章、その下に日本語が書いてあるが
記号のようなものばかりで一見しただけでは内容はわからない。
先生は英語の先頭の単語3個を赤ペンで囲った。
「これは乳がんという意味です」
それだけ言うと短い沈黙。
…まさか英単語の意味を教えてくれただけじゃないよな?
これって乳がんって告知されてるのかな。
なるほど…こういう言い方ってあるんだ...
妙に感心してしまった。
はっきり言わないんだね、解釈は患者に委ねるんだね
なるほど。
「サイズは1.1センチ程度で、
リンパも詳しく検査しないとわかりませんが、
2センチより小さい場合は一般的に早期発見と言えます」
事実を伝えているというよりは、
慰めてくれてるように受け取った。
治療をするための病院は近くが良いでしょうとのアドバイスで
特に希望する病院がないこともあり、
家から一番近い大学病院を紹介してもらうことにした。
職場の近くの病院という選択肢もあったが、
知り合いに会いたくないから離れた病院を選ぶ人もいると聞いて、
職場の人に会うのは確かに気が進まないだろうと思い外した。
家の近くなら、顔見知り程度のクリーニング店の人と
職場で先週突然辞めたパートさんくらいしか知り合いはいない。
(偶然同じ最寄り駅だったが、駅の反対側のせいか会ったことはない)
紹介してもらう病院も、一番近くと言ってもこのクリニックの近くだから
うちからは3駅離れている。
家に帰って一人で夕食をとりつつ、夫が出張中であることに感謝した。
自分でも驚くほど落ち着いている。
私は自分のことだし時間をかけて少しずつ
覚悟と予感を持っていたのだと思う。
それにどんな手術と治療をするかは詳しく検査しないとわからない。
それでも自分の口から誰かに伝えるのはまだ荷が重い。
妻が乳がんと言われ動揺する夫に対処できる自信がない。
静かな夜がありがたかった。
