今回は『DIYで防音室を作る』シリーズの第3弾として、壁の防音対策について解説します。

マンションでも戸建てでも、既存壁の音漏れ(騒音)は、建物の構造によって大きく変わります。同じ対策をしても効果が違ったり、時にはまったく効果が出ないこともあります。

天井・床と同様、構造と目的に合わせて対策方法を考えることがとても大切です。

 

今回も構造別に整理していきます。

 

🔹木造

木造は建物自体が軽く、音抜け・振動の影響を非常に受けやすい構造です。

外壁はサイディングかモルタルが主で、室内は石膏ボードで仕上げるのが一般的です。

間仕切り壁は、ほとんどが両面石膏ボードの空洞壁になります。

 

木造にも高密度な工法もあり、それにより音漏れの度合いが変わりますが、基本は図のような構造で、時代が古くなるほど音漏れが大きいという傾向があります。

 

DIY防音で注意したいのは、

できるだけ振動を抑えて、既存部分を共振させないこと。

これを踏まえた対策をすると、比較的効果も感じやすく、難易度もそこまで高くはありません。

※鉄骨造でもコンクリート造でも基本は同じです。

 

 

🔹鉄骨造

鉄骨造は重量があり木造ほど揺れませんが、前回も説明した通り、音の伝わる速度が非常に速いという特徴があります。

さらに外壁材や内装の作り方よって音漏れ(騒音)の大きさが大きく左右されるため、最初の確認がとても重要です。

▪️外壁

・窯業(ようぎょう)サイディングがもっとも遮音性が高い

・ALCがもっとも遮音性が低い

 

▪️内装

・鉄骨や外壁の前に、木材または軽鉄で軸組を行い、石膏ボードで仕上げるのが一般的です。

 

▪️間仕切り壁/戸境壁

・安価なアパートや戸建て住宅では、木材+石膏ボードことがある。

・鉄骨造の標準は、軽鉄+石膏ボード(乾式壁)

・乾式耐火遮音壁は、乾式壁の強化版。厚い石膏ボードや断熱材を使い、分譲住宅で使われることが多いです。※ただし『遮音』と言っても、躯体との接合部分が通常施工なため、振動音は普通に伝わる点は注意。

 

まとめると、

見た目はどれも石膏ボードでも、内部構造(外壁・間仕切り・戸境壁)がまったく違うため、最初に種類を特定することが非常に重要になります。

難易度的としては、壁単体で考えるなら中くらいといういう感じになります。

 

 

🔹鉄筋コンクリート造(マンション)

コンクリートは素材の密度(重量)がもっとも高く、遮音性能は最強です。

しかしその強さゆえに、部屋内で出た音が外に逃げず、建物内部で増幅して隣戸や上下階に伝わるいう問題が起こります。

建物自体は揺れませんが、振動音は構造次第で広範囲に伝わっていくという特徴があり、非常に厄介です。

 

間仕切り壁は鉄骨造と同じく軽鉄+石膏ボード(乾式壁)が多く、古い建物では木材下地のこともあります。

 

外壁側の壁と戸境壁はどちらも下図の4つの構造が主になります。

◉外壁側の壁

 

◉戸境壁

 

🟡構造による効果の出やすさ

1位:コンクリート直の壁

空気層(懐)がないため、いちばん対策効果が出やすい。

 

2位:木材軸組の壁

木材は空洞がなく、軽鉄より響きにくい。

(軽鉄は薄い鉄板の柱で空洞があり、素材自体も鉄なので、音の伝わりが速く響きやすい)

 

3位:乾式耐火遮音壁

軽鉄下地だが、断熱材と厚い石膏ボードで補強されているため、通常の軸組工法より効果は出しやすい。

 

最下位:GL工法の壁(最難関)

GLは団子状の接着剤で、石膏ボードを張り付ける工法。

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固まるとコンクリートのように硬く、

薄い石膏ボードが振動しやすい+内部の空気層で増幅し、その音が天井や床の空気層に逃げていき、隣戸や別の階へ伝わっていきます。

さらに天井や床で発生した音も拾ってしまうため、非常に厄介です。そのため簡単なDIYでは気休め程度になります。

 

🟡コンクリート造で大事なこと

壁の構造を見極めること。

同じコンクリート造でも、構造が違えば、

対策の難易度も効果の出方もまったく違います。

 

いつも書いている通り、

・自分の部屋の構造を調べる

・立地や周囲の環境、目的を踏まえて対策方法を考える

これが必須です。

 

調べれば調べるほど、対策が成功する確率は確実に上がります。

焦らず、正しく調べながら検討してもらえればと思います。

 

●次回予告

DIYで防音室を作るシリーズとして、天井・床・壁と進めてきましたが、

壁には窓・ドア・換気口という住宅で最も気密性が低い場所が含まれます。

次回はその3つについて詳しく解説していきます。