ここのところ次世代の経営幹部育成の先にある「経営者の選抜」という仕事が増えつつある。
自身が経営なる業を担ったことがないにも関わらず人や組織の運命を左右する経営者の選抜を業として行うとは何とも烏滸がましい限りであり、
そもそも人が人を評価するというのは神をも畏れぬ所業だと常々自戒しているのだが、
とはいえ何の因果か組織人事コンサルタントを志ざし、組織人事コンサルタントとして日本中の組織のさまざまなビジネスパーソン(新入社員から経営幹部、経営者に至るまで)数千人以上とご縁を有してきた経験、
それに加え、住所不定無職となり2年かけて妻と世界の国々(66カ国)をぷらぷら散歩し、ときには生きるか死ぬかの経験にも遭遇したり、そもそも夫婦とはいえ24時間365日共に過ごすというのは実に稀な経験であるという観点から、
「わたしにはわたしにしか綴ることができない言葉がある」と考え、経営者に求められる最も大事な要素について考察したい。
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経営者、あるいはリーダーに求められる要素とは何か?
少なくとも、経営者やリーダーは人や組織を動かす、人や組織に影響を与え、そこから二次三次の隔たりを経て波及する仕事、ないしは生き様である。
なろうとしてなる面もあろうが、なるべくしてなる側面もある。
わたしは、経営者やリーダーに求められるたった一つの重要な要素は何かと問われれば、
それは
常にご機嫌であること
なのではないかと思う。
経営者やリーダーが、なろうとしてなるのではなくなるべくしてなるならば、まさにその要素は重要なのではないかと思う。
ご機嫌かどうかは、自分でコントロールすることができる。そしてその波動は言わずもがな、周りに影響を与える。経営者やリーダーが常にご機嫌であれば、その波動は周りに良き影響を与える。
経営者やリーダーの器以上には、組織は発展していかない。ならば、器を大きくしようとするのはひとえに経営者やリーダーの個としての意思に委ねられている。器を大きくするのかどうかという点について、実は他者は興味を持っていない。世界はあなたが思っている以上に、あなたに興味はない。
ちなみに経営者やリーダーの器は以下の公式で図られる(世界のMJ調べ)
能力(原体験の積み重ね)×資質(自己理解)=魂の器(人間力)
ほかに以下の公式もある(世界のMJ調べ)
情報×原体験=知恵
わたしの知恵×あなたの知恵×みんなの知恵=叡智
最近の文脈では心理的安全や人的資本経営など、様々なことが言われているが、要は信頼のおけるリーダーに、みんな引っ張ってほしいと思っているのである。
先行きの見えない未来に、明るい希望の光を灯してほしいのである。
わたしたちをワクワクさせてほしいし、安心させてほしいし、不安を取り払ってほしい。
そのためには、まずは経営者やリーダーがご機嫌であることが一番大事なのではないだろうか。
不機嫌な人からは、嫌な波動が出る。そうするとその嫌な波動は周囲にも伝達するし、なんとかご機嫌をとろうと周囲は遠慮したり忖度したり畏怖したり距離をとったり内輪揉めしたりする。それで果たして、組織やチームの生産性や創造性、人間関係は向上するのだろうか。
不機嫌な人をより不機嫌にさせたくはないから、ミスや失敗も報告されなくなり、隠されるようになってしまう。
どうせ世界はこの上なく残酷でかつ混沌としており、何をやっても何をやらなくても賛成と反対、本音と建前が入り混じり、うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。
だとするならば、そうしたものに振り回される必要はない。
他者や世界はコントロールできないが、自分自身はコントロールすることができる。魂の器を大きくすれば。
肩肘を張る必要もない。外部環境や他者や世界が如何であろうとも、少なくとも自身は常にご機嫌であることで、外部環境や他者や世界と調和しながら生きればいいのではないかと思う。
つくづく思うのは、すごい組織なんてない。すごい人もいない。あるとするならば、何かを為そうとする人間の志だけである。