阪急阪神ホールディングス(HD・大阪市)のグループである宝塚歌劇団(兵庫・宝塚市)の問題については過去記事にも触れていますが、昨年9月に宝塚歌劇団宙組生徒が宝塚市内の自宅マンションから転落死(自死と報じられている)した件、やっとことし3月になって同社の角和夫会長・グループCEOが遺族に直接謝罪、嶋田泰夫社長らが大阪・豊中市の千里阪急ホテルで記者会見するなど、急転直下の「幕引き」の様相を呈しています。

まさかと思ったのは、問題発覚以後キャンセルされていた宙組の公演を再開するということ。宝塚大劇場で6月20日から、東京宝塚劇場(東京・千代田区)で7月20日から、いずれもショー1本立て(通常はお芝居とショーの2本立てがほとんど、一部、お芝居1本立てはあるがショーのみの公演は異例)でのリスタートとなる…とはいえ、こんな早くに宙組公演を再開させる阪急阪神HDの無神経さに呆れを感じるところであります。
噂としては、宙組を解体して長らく続いていた「花月雪星」の4組体制に戻す議論も内部ではあったもようです。ただ、大劇場とバウホール、地方公演に加えて客席稼働率の高い東京通年公演をやるには現状のオペレーションを維持することを前提にすれば5組必要なため、興行収入維持のために5組体制にはメスを入れきれなかったというのがホンネなでしょうか。



「夢の世界」はいずこへ………
(写真は宝塚大劇場エントランス)


また、本問題をスクープした週刊文春には自死に至らしめる虐めやパワーハラスメントがあったことも報じられていて、その加害者の実名も報じられております。被害者生徒にどのような加害行為が行われていたのかという事実認定もあえて明確にしていないのか有耶無耶、こんな中で果たして通常通り舞台をやれるのか、また劇団員全員の安全面やメンタルに関してどこまでフォロー体制が取られているのか………。シンプルに考えて絶対無理なのに、とにかく幕を開けることしか考えない拝金主義的な一面が窺い知れるような気がいたします。

実際に会社側と生徒の間では今後の運営方法について大きな隔たりがあるとみられていて、きのう4月21日の東京宝塚劇場における花組の公演は出演者の急な体調不良を理由に2公演がキャンセルされていますし、例の宙組公演のあと、7月6日から大劇場ではじまる雪組公演「ベルサイユのばら」では男役の一禾(いちか)あおさんの全日程休演が発表されるなど、ゴタゴタ感が漏れ伝わってきているような状況。とりわけ一禾さんは亡くなられた団員の妹さんで、ご心痛きわまりないことでしょう。


阪神タイガースも阪急阪神HDグループの一企業。

(写真は同グループ運営の阪神甲子園球場)


阪急阪神HDは都市交通を祖業に持つ一方で、今回の宝塚歌劇団やNPB球団である阪神タイガースなど、ソフトビジネスで企業イメージを牽引し、沿線住民に親しみを持たれてきました。しかしその裏では組織的隠蔽、事なかれ主義の横行、守旧的志向など、企業としての悪しき体質が本件を通じて浮き彫りになったと見る向きもあります。同社の角和夫会長が来年改選となる関西経済連合会の次期会長の有力候補と報じられていますが、これまでの同社の好意的なブランドイメージが押し上げた向きもあってのことでしょうから、おそらく本件が影を落としてフイになるのではないかと思います。阪急阪神HDには公共インフラを担う企業として原点に立ち、公正性や公益性、そして安全安心を重んずる企業体質への変革をしっかり志していただきたいと強く思っている次第です。


※次回の記事は4/24(水)に公開します。


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