※文中にて過去に劇団内で発生した人が絡んだ事故に関する生々しい表現を含んでおります。抵抗のある方はお読み頂かないことをお勧めいたします。



今年、令和5年は宝塚歌劇団を含む阪急東宝グループ(現在の阪急阪神東宝グループだが阪神の創設には関わっていない)の創始者・小林一三翁(雅号:逸翁)御生誕150年、そして来年、令和6年には宝塚歌劇団の創設110年とアニバーサリーイヤーが重なります。その宝塚歌劇団の宙組生徒が急逝、自殺とみられていて、各種報道によると、当該生徒は劇団内で複数の上級生に執拗な「いじめ」を受けていたとのこと。宝塚歌劇団は第三者による調査を実施し、先日、調査報告書が発表されています。ただ、起こった事案の重さに加えて宝塚歌劇団や劇団を運営する阪急電鉄の対応に誠意のカケラも感じられず大きな批判に晒されており、創設以来の危機を迎えているのは周知の通りであります。


宝塚歌劇団はその成立当初から阪急電鉄のひとつのセクションという位置付けで、現在でも「阪急電鉄株式会社歌劇事業部」がその運営を担っています。一般的に鉄道会社は質実剛健なイメージがあって、安心安全に対するガバナンスが高いといわれますが、少なくともタカラヅカのガバナンスに対するその意識は薄く、寧ろ隠蔽体質によるブランドイメージ保持を最優先にする組織文化が培われていたのではないかという疑惑さえ指摘されはじめています。


身体が真っ二つに………

まず、かつてタカラヅカを巡る不祥事で今回のケースと重なると思われる2例をご紹介したいと思います。

逸翁が亡くなった1年後、昭和33年(1958年)4月の宝塚大劇場月組公演で香月弘美さんが舞台のセリの駆動部分にドレスの裾が挟まり、腰部のワイヤーが締まって身体が真っ二つになって死亡するという凄惨な事故が起こっています。現場検証において兵庫県警は「あの狭い舞台で直径3mの衣装を着用、しかも直径10cmもの太いスクリューシャフトが剥き出しのままかなりのスピードで回転している」として、「誰が見ても危険」と結論づけました。刑事的に劇団側の責任が明確かつ具体的に指摘されていても、公演は翌日から再開され、現在の阪急電鉄にあたる京阪神急行電鉄、宝塚歌劇団、関係者などの刑事処分は明らかにされていません。宝塚歌劇団としての公式なヒストリーからも抹消されていて、闇に葬られているのです。


記憶に新しい「96期いじめ問題」

「96期いじめ問題」というのもヅカファンの中ではよく知られています。宝塚歌劇団への入団には宝塚音楽学校で2年間学習することが条件とされていますが、その宝塚音楽学校の生徒が退学処分の取り消しを主張して音楽学校を相手取って訴訟を提起した事案です。当該学生が万引をしたとの同期生徒の通報を受け学校側が退学を申し渡したものですが、当該学生は万引行為そのものを完全否定、学校側は嘘の証言を信じて退学処分を出したものだから、それを取り消せというのが本件の経緯であります。訴訟においては万引の事実がなかったことが証明され原告の勝訴となり、音楽学校側に退学処分の取消を言い渡して結審となっています。

問題はここからで、宝塚歌劇団は当該生徒の復学を退学処分は取り消したものの復学は認めず、あろうことか一部では「宝塚歌劇団に入団しないことを条件に退学処分を取り消した」とまで言われている始末。当該学生の万引行為を偽証した(と思しき)生徒らの処分はせず、端的に申して虐められていたと考えられる当該学生を切って捨てるような愚行に大きな批判が集まりました。


骨抜きにされている逸翁の思い


大劇場前に建てられている逸翁の胸像。

創設者はこの体たらくをどのように見ているのか。


あともう少しで110年というところまで続けてきたことそのものは立派としても、その長き間に逸翁の思いは骨抜きにされ変質していたことも報道で指摘されはじめています。宝塚歌劇団はあくまで「花嫁養成」の一環であることから未婚の女性に限ったレビュー集団であることを保ちつづけています。そのため劇団員は「女優」「俳優」などとは称せず、音楽学校時代から通して「生徒」であります。「花嫁養成」と申すと炊事洗濯掃除…というイメージでありますが、タカラヅカが目指したものはそこではなく、まさに「良妻賢母」たる人間性の確立に主眼を据えるべきとして、舞台を通じた人間教育の場の提供こそが劇団の存立意義であると明言されています。それが歌劇団の理念「朗らかに清く正しく美しく」(逸翁直筆では「うつくしく」と平仮名表記)であります。


歌劇団の生徒は全員、退団まで電鉄社員としての地位が保証され、男性と同様の給与が保証されていたことは当時としては特筆に値します。大正・昭和のフェミニストとして知られる平塚らいてう(らいちょう)氏は宝塚歌劇団を指して女性蔑視と罵ったと伝わりますが、事実はまったく逆で、劇団員の地位としては男性と同様、そして当時の女性の幸せは結婚して家庭に入ることだろうという逸翁の深い親心でありました。ひとりの生徒の退団にも逸翁はいつも涙していたと、逸翁の奥様、小林こう女史は後世に記しています。「女優」でなければ「ファン」も存在しないのがタカラヅカで、逸翁は「お友達」の表現を崩しませんでした。


それが単なる芸能に…表現として問題がありますがあえて使います… 「成り下がり」、こちらも報道で示されていますが、研5(入団5年目)までは伝統を継承し阪急電鉄社員の地位は保証されているものの研6で全員タレント契約に切り替えになり、高額なチケットやらDVD販売を契約条件にしているのだとか。恰も客のつかない「女優」は切り捨てるかの如く、販売額が契約に達しない「女優」は退団に追い込まれると。劇団は否定していますが、果たしてこれが火のないところに立った煙と言えるのかどうか。


阪急電車の線路と接する阪急阪神HD本社。

(大阪・北区)


これらの事態は宝塚歌劇団はもとより、運営主体てある阪急電鉄やその持株会社にあたる阪急阪神ホールディングスのガバナンス能力に対して大きな瑕疵があると指摘せざるを得ません。ましてやひとりの人命が失われたにもかかわらず、これまで劇団の調査に留めて、やっと阪急電鉄直轄の調査委を立ち上げるというスピード感の遅さには溜息しかありません。理事長交代や「いじめ」に加担したとされる当事者の永久追放はもちろんのこと、劇団そのものも解体的出直しの必要に迫られていると感じております。


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